自他共栄
 平成27年7月から協議されてきた長崎県地域医療構想は、県医療政策課が中心となって各構想区域(二次医療圏が原則)ごとに
地域医療調整会議(壱岐構想区域は品川敦彦副会長が委員長)を設置し、県保健医療対策協議会との協議により地域医療構想が
作成され、医療審議会への諮問を経て昨年11月に長崎県地域医療構想が策定され、現行の医療計画に組み込まれました。
 しかし、その内容は厚労省が考える医療構想自体が人口の6割以上が集中する都市部を対象にしているため、長崎県のような
地方都市や離島・僻地にはそぐわない点が多く見られ、特に将来予想される医療需要を巡っては行政サイドと地元医師会の解釈に
大きな隔たりがあり、厚労省は地域医療構想は病床削減ありきではないと明言しているが、このままでは病床の大幅な削減が必要と
されます。
 離島における少子・高齢・過疎化が進む中、看護師・介護等のマンパワー不足や老々介護・独居老人の増加など鑑みると、地域の
実情に合った地域医療構想実現が必要であり、行政の一層の柔軟な対応が求められます。そうでなければ真の包括ケアシステムの
構築、在宅医療の推進は実現できません。この件に関しましては、今後壱岐医師会と県医師会が連携し、行政へ強く提言・要望して
行く所です。詳しくは県医師会報5月号第194回、県医師会代議員会議事録を御参照下さい。
 「在宅医療推進部会(光武新人顧問が委員長)」は、壱岐医師会を中心に壱岐病院・壱岐市・壱岐保健所・多職種が官民一体となり、
24時間365日可能な在宅医療構築に向け整備を進めています。その一環として一昨年来「あじさいネット」を在宅医療に運用し、病院・
診療所・介護施設が患者データの閲覧・共有が出来るようになり、昨年11月には長崎県地域医療介護総合確約基金事業より、ICT
医療連携導入支援事業として壱岐医師会在宅医療推進部会に補助金が出されました。これは「あじさいネット」を活用してこれまでの
病院・診療所・介護施設に新しく薬局(市内)を加えたICTにより医療機関と薬局、及び薬局同士が調剤などの情報を相互に共有可能に
するためのシステムであります。将来的にはこのシステムと併行し壱岐市内の全医療機関・薬局・介護福祉施設・多職種、行政・包括
支援センターがネットワーク化され、全国に先駆けたモデル事業としての運営、稼働が期待されます。そのためにはまず市内全薬局の
参加が必要となります。薬局の御理解、御協力をお願い致します。
 「地域包括ケアシステムの構築」には昨年来、中心的役割である「地域包括支援センター」や運営主体である「地域ケア会議」が
行政の枠を越えない限り目標を達成する事は出来ず、官民一体となり医師会や多職種等との信頼される関係を築く事が重要であると
提言してきました。この様な中、大きな転換が2つあります。1つはこれ迄行政の中だけでの「地域ケア会議」が今年度より壱岐医師会
在宅推進部会の多職種協働会議に運営委託されました。これは全国でも画期的であり、今後前進的な会議が展開されると思います。
 2つめは、平成27年1月に「認知症施策総合推進戦略(新オレンジプラン)」が国において策定されました。これも2年かけて今年度
より壱岐市包括支援センターは「認知症高齢者に優しい地域造り」に向け「壱岐市認知症初期集中支援事業」を展開します。その支援
チームに壱岐医師会より認知症サポーター医として赤木保久・空閑毅両先生が就任します。これはかかりつけ医、認知症患者・家族、
支援チーム・支援センターの連携を担う重要なポストであり、多職種や地域を含めた地域包括ケアシステムの大きな出発点であります。
上記2点は医師会と行政の両輪がやっと共に動き始めた記念すべき年(今年の干支は酉年:新しい時代の始まり)であり、今後一気に
「地域包括ケアシステム」が構築されることと期待されます。
 平成25年5月壱岐医師会は「一般社団法人壱岐医師会」に移行しました。この時点での医師会は赤字転落の恐れがある財政状況
でありましたが、理事・幹事・会員各位の御理解・御協力・努力により平成25年より単年度収支を黒字化。平成28年度、正味財産は
約1900万円になるものと見込まれ、約6年も前倒しで当初計画を達成できる状態となりました。(詳細はイルカのため息No.20に別掲
しています。参照下さい。)今後は公益法人として健康大学の充実・骨粗鬆症対策・がん健診対策・CKD重傷化予防推進等、住民の
保健推進や啓蒙等に重点的に社会還元していく所であります。
 診療報酬改定には社会情勢が大きく反映されます。医療費が増え続ける一方、来年2018年は医療と介護が初めて同時に改訂され
る重要な年といえます。日本医師連盟は第23回参議院議員選挙で第20回西島議員以来、羽生田たかし先生を当選させる事ができ、
その結果昨年度の診療報酬改定では近年の厳しい財政状況の中でプラス改訂を勝ち取る事ができました。又、昨年7月に行われた
第24回参議院議員比例代表選挙では、日本医師連盟推薦、自民党の自見はな子先生が医療系ではトップ当選を果たし、全国得票数
は長崎県は5位であり、壱岐医師会A会員一人当たり得票数は県下2位(前回1位)と好成績を残しました。さらに県医師会推薦の金子
原二郎(自民党)議員も参議院2回目の当選を果たし、これも一重に会員先生方の御尽力と厚くお礼を申し上げます羽生田たかし議員は
現在2期目として特例の参議院厚生労働委員長に就任。そして、自見はな子議員も1年目では異例の厚生労働委員に就任と、官僚系、
医療現場系の両輪の活躍はこれから非常に期待され、すでに2018年診療報酬改定等に向け全力を捧げられています。今後も会員
皆様の絶大なるご支援をお願い致します。
 最後に、柔道の創始者嘉納治五郎先生の言葉に「自他共栄」があります。これは個人の持つ力を良い方向に効率よく使い、互いを
信頼し、助け合う事が出来れば、自分も世の中の人達も共に栄えることが出来るという主旨であります。私達医療人はいかなる状況に
おかれても、いかなる時代が来ようとも、島民の皆様の健康と生命を守り、医療・福祉の恩恵を十二分に平等に授けられるよう今こそ
自他共栄の言葉を忘れずに官民が一体となり、目的を達成するために至誠を尽くさなければなりません。


                                                           平成29年吉日  
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