敬天愛人
 長崎県では平成28年11月に地域医療構想が策定され、平成30年度より長崎県第7次医療計画の一部に盛り込まれ、今後各構想
区域各々が策定実現へ向け取り組まなければなりません。地域医療構想は当初より国・県は医療機関の機能分化・連携等と唱える
一方「病床削減ありきではない」といいながらも「病床削減ありき」は否めず、壱岐の病床必要数は医療機関所在地で算定され、現状
460床が267.3床迄減少と提示され、一時期マスコミに報道され多くの医療関係者や住民が騒然となりました。このような危機状況を
解決するため、品川敦彦地域医療構想委員長の「少子化・高齢化・過疎化が著しく進み、人材確保もままならない離島や地方都市の
構想区域では都市部と異なり、地域の実情を勘案した患者住所地により病床必要数を算定(384.7床)することが重要であり、これ迄
の算定法では地域医療への悪影響ばかりでなく地域医療の崩壊も招きかねない」とする提言を、私は平成29年3月開催の県医師会
代議員会、平成29年9月12日並びに12月26日開催の第1回・第2回長崎県地域医療構想調整会議で再三強く要望して参りました。
各々の会議では新たな答えはありませんでしたが、全国的にもこのような意見が出たのか今年1月31日開催された壱岐構想区域調整
会議での県の対応は、今迄とは異なり非常に柔軟で病床必要数は地域の実情に合わせ段階的に患者住所地算定も考慮され、壱岐に
おける真の地域医療構想策定実現に十分とはいえないが希望を持って取り組める状況になったともいえます。
 又、地域医療構想と並行し、全国公的医療機関は地域における今後の方向性について記載した「公的医療機関2025プラン」を作成し、
策定したプランをふまえ、地域医療構想調整会議においてその役割について議論されるよう要請されています。これからも今迄同様に
官民(中核病院である壱岐病院と壱岐医師会)が一体となり機能・役割分担を明確にすることが今後の地域医療構想を実現させ、病々・
病診連携の強化、更には安定した地域医療を提供・確立できるものであり、今後の地域医療調整会議専門部会における議論は非常に
重要となります。
 地域医療構想策定・実現には地域包括ケアシステム及び在宅医療の構築・推進が最も重要であります。壱岐医師会では光武新人
顧問を委員長に「在宅医療推進部会」を設置し6年目を迎えます。多職種が参加する地域ケア推進会議も軌道に乗り、様々な研修会を
展開し、相互の連携は着実に強化されています。ICT医療連携導入支援事業として取り組んで来ましたあじさいネットを活用した
医療機関と薬局、及び薬局同士が調剤等の情報を相互共有を可能とする調剤情報共有システムも今年度4月より稼働することとなり
ました。在宅医療推進には欠かせないシステムであり、今後島内医療機関の加入、更には包括支援センター・行政等多くの職種が
オンライン化する事により壱岐における包括ケアシステムは全国的なモデルに迄発展することとなります。
 昨年4月より壱岐医師会は壱岐市包括支援センターと連携し「壱岐市認知症初期集中支援事業」を展開しています。このような中、
昨年11月11日壱岐市認知症サポーター医の空閑毅先生が実行委員長として「RUN伴+(ランともプラス)2017 in いき」が開催され
ました。これは認知症の人や家族、支援者、一般の人々が少しずつリレーをしながら1つのタスキを繋ぎ、ゴール(認知症になっても
安心して暮らしていける町づくり)を目指すもので、地域に暮らす人達がお互いを知り、各々が考え、同じビジョンを描きながら繋がり合う
ことが必要と考え開催されました。多くの参加者が集まり盛会裡に終えられたことを大変喜ばしく思います。今後RUN伴+が壱岐住民
27,000人に繋がる大きな輪に広がることを期待し、この連携こそが自助・共助・公助の原点となり、まさに住民参加型の地域包括ケア
システムの完結に到達できるものと高く評価される所です。今後の更なる発展・活躍を祈念致します。
 今年のNHKの大河ドラマは幕末の革命家・戦士であり、その後坂本龍馬達と明治維新を成し遂げた一人である西郷隆盛翁の生涯を
林真理子さん原作で放映されています。出会う人全てから愛され、愚直な中に天真爛漫でいつも笑いと愛と波乱が耐えない西郷さんを
「西郷どん : segodon 」と人々は親しみを込めて呼んでいます。この西郷どんは「敬天愛人」という言葉を多く語り、揮毫しています。
分かり易く言えば「天を敬えば、天は他人も自分も平等に愛してくれる。自分を愛する心を持って人を愛することが寛容である」言い換え
れば「人のために尽くしなさい」という意味であり、私達、医療人も全力を尽くして「いかなる時代が来ようとも島民が医療と福祉の恩恵を
平等に十二分授けられ、住み慣れた場所で安心して最期を迎えられる島造り」を目指さなければなりません。


                                                           平成30年4月吉日  
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