トピック:風疹(ふうしん)の感染者増加について

 国立感染症研究所は、9月11日に2018年第35週(8/27-9/2)の風疹(ふうしん)患者数が1週間で新たに75人増加し、今年に入ってからの累計患者数が362人に上り、昨年1年間の約4倍の患者数となっていることを報告しました。
⇒東京、千葉、神奈川などの関東地方を中心に風疹感染が広がっています。
以下に、風疹について、Q A 形式で記述しますので、風疹が疑われる方は、早めにかかりつけ医にご相談ください


最終更新:2018/9/20

Q1:風疹(ふうしん)は何と呼ばれますか?
A:「三日はしか」と呼ばれることがありますが、「はしか(麻しん)」と原因となるウイルスが違いますし、異なる病気です。


Q2:風疹は、どのような病気ですか?
A:風疹ウイルスに感染後、14〜21日(平均16〜18 日)の潜伏期間をへて、発熱、発疹(ほっしん)がみられ、リンパ節の腫れが耳の後ろ、後頭部、頚部にみられやすいです。
一般に、子どもが感染すると、症状は比較的軽いと言われていますが、大人は、発熱や発疹といった風疹の症状を認める期間が長く、重症化しやすいと言われています。
発熱は、風疹患者の約半数にみられます。 また不顕性感染(症状がない感染)が15〜30%程度存在します。まれに、血小板減少性紫斑病(1/3,000〜5,000人)、急性脳炎(1/4,000〜6,000人)などを合併し、入院が必要になることがあります。



Q3:妊婦さんが風疹にかかった場合はどうなりますか?
A:風疹の影響を受けやすい妊娠20週頃までの妊婦さんが、風疹ウイルスに感染した場合、出生児(新生児)が先天性風疹症候群を発症することがあります。2012年10月〜2013年4月までの7ヵ月間に10人の先天性風疹症候群が報告されています。
妊娠中の感染時期により重症度、症状が異なります。先天異常(生まれながらの異常)として、先天性心臓病(動脈管開存症が多い)、難聴、目の病気(白内障、色素性網膜症)があります。
新生児期にみられる合併症として、低出生体重(生まれた時の体重が少ない)、血小板減少性紫斑病(血がかたまるのに必要な血小板が減少し皮膚に異常がみられる)、溶血性貧血(赤血球が壊れて貧血になる)、黄疸(目、皮膚が黄色になる)、間質性肺炎、髄膜脳炎などが挙げられます。 また、進行性風疹全脳炎(脳の病気)、糖尿病、精神運動発達遅滞などが見られることがあります。
先天性風疹症候群などの風疹の合併症を防ぐために、男女ともに風疹ワクチンを受けて、風疹の流行を抑制することが大切です。
妊娠を希望される女性は、妊娠の2ヵ月以上前に風疹ワクチンを接種することが推奨されます。
妊娠中は風疹の予防接種を受けることができません。 ワクチン接種後は2カ月間の避妊をする必要があります。 1回のワクチン接種では免疫獲得が不十分であるため、妊娠を考えている人は、妊娠前に2回の予防接種を受けることが大切なのです。
「先天性風しん症候群」は全数報告対象(5類感染症)であり、診断した医師は7日以内に最寄りの保健所に届け出なければなりません。



Q4:風疹は、感染症動向調査の対象ですか?

A:
風疹は、感染症発生動向調査の対象で、2008年から5類感染症で全数把握が必要な感染症になっています。 風疹を診断した医師による最寄りの保健所への届出が義務づけられています。


Q5:風疹の流行について

A:2011年(平成23年)にアジアで大規模な風疹の流行があり、海外で風疹にかかって帰国した後に風疹を発症する成人男性と職場での集団発生が散発的に報告されるようになっています。
2010年に87人であった報告数は2011年に378人となり、2012年には2,392人、報告数は5,442人となりました。首都圏と近畿地方が多い。 9割が成人で、男性が女性の約3.5倍多い。 男性は20〜40代に多く、女性は20代に発症する方が多い。
国立感染症研究所は、2018年(平成30年)9月11日に2018年第35週(8/27-9/2)の風疹(ふうしん)患者数が1週間で新たに75人増加し、今年に入ってからの累計患者数が362人に上り、昨年1年間の約4倍の患者数となっていることを報告しました。
⇒東京、千葉、神奈川などの関東地方を中心に風疹感染が広がっています。



Q6:風疹の治療は?

A:発熱、関節炎などに対しては解熱鎮痛剤が用いられますが、特効薬はありません。
症状を和らげる治療が中心となります。



Q7:風疹ワクチンの接種状況は?

A:わが国では1977年(昭和52年)8月〜1995年(平成7年)3月までは、中学生の女子のみが風疹ワクチン定期接種の対象でした。1994年の予防接種法改正により、1995年4月からその対象は生後12カ月以上〜90カ月未満の男女(標準は生後12カ月〜
36カ月以下)に変更になりました。
経過措置として、12歳以上〜16歳未満の中学生男女についても接種の対象とされました。
ワクチン接種は、保護者同伴で医療機関を受診して受ける個別接種に変更されましたが、中学生での接種率は激減しました。そこで、2001年(平成13年)11月7日〜2003年9月30日までの期間に限って、1979年4月2日〜1987年10月1日生まれの男女はいつでも定期接種(経過措置分)を受けられる制度に変更になりました。
対象者にこの情報は十分伝わらず、接種率上昇には繋がりませんでした。

 2006年度(平成18年度)からMR(麻疹・風疹)混合ワクチンが定期接種に導入され、1歳と小学校入学前1年間の幼児(6歳になる年度)の2回接種となりました。また、2007年に10〜20代を中心とした麻疹の全国流行を受けて、2008年度〜2012年度の時限措置として、中学1年生(13歳になる年度)あるいは高校3年生相当年齢(18歳になる年度)の者を対象に、2回目の定期接種が原則MRワクチンで行われることとなりました。
2回目の接種機会は、生年月日により、小学校入学前1年間(第2期)、中学1年生(第3期)、高校3年生相当年齢(第4期)の違いがありますが、第4期の接種率は特に大都市圏で低かったです。



Q8:子供の風しんは何日休んだ方がよい

A:風疹は、第2種の学校感染症に定められており、発しんが消失するまでを出席停止期間としています。


Q9:長崎市では妊娠を希望している方とそのパートナーを対象に、風疹抗体検査を無料で行っていますか?

A:はい、長崎市保健所で風疹抗体検査を無料で行っています。
時間は、毎週水曜日午前9時〜11時、毎月第3木曜日午後2時〜4時です。
風疹抗体の検査をご希望の際は長崎市保健所(095-829-1153)までお問い合わせください。
検査結果は検査を受けてから約1週間後に判明します。対象者は、長崎市に住所がある方で

(1)これまで風しんの予防接種をしていない方、または接種歴が不確かな方

(2)(1)に該当し、かつ今後の妊娠を希望している方

(3)(1)に該当し、かつ今後の妊娠を希望している方のパートナー


Q10:妊婦さんの風疹抗体検査は、どのように行われていますか?
A:妊婦さんは、かかりつけの産婦人科で、妊娠12週前後の健診時に風疹抗体検査が行われます。
気にかかる点、不明な点などありましたら、かかりつけの産婦人科の先生にご相談ください。



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