「不適切」な応急手当

田崎医院
田 崎 賢 一

 異常な暑さも少し和らぎ活動的になる季節、ケガしないに越したことはありませんが、やってしまった場合応急手当がその後を左右することがあります。今回はキズ、ヤケド、打撲(打ち身)・捻挫の場合にチョットだけ注意していただきたいことについて書いてみます。
 切り傷や擦り傷はきれいにしておくことが最も重要です。というと消毒薬が思いうかびますが、大事なのは泥などの汚れを落とすことで、泥や砂が付いたまま消毒薬をつけても効果不十分です。きれいな水で洗い流して下さい。また、「キズを消毒と同時に乾かして治す」とTV等で宣伝しているパウダーやスプレーがありますが、これは既にきれいになった浅いキズに有効でしょう。しかし、少しでも汚れたままのキズに使うとヨゴレを閉じこめ表面が・良くなったかに見えて下では化膿ということもあり、使い方が難しいようです。
 ヤケドの場合、冷やすのは皆さん良く御存知ですが、徹底して冷やすことを心掛けてください。ヤケドは翌日までの間に進行し、同じヤケドを負っても冷やし方によって最終的な重症度が違ってくることがあります。冷やすと痛みが軽くなり、冷やすのを止めるとまた痛む時は、痛まなくなるまで冷やして下さい。様々な種類の油は、表面が赤くなるだけの浅いヤケドでは痛みを少し和らげますが、ぜひ必要なものではありません。水疱ができる程度以上のヤケドには汚れを付けやすくするなどの害があり、一般的には勧められません。
 打撲(打ち身)・捻挫の#急性期は患部を冷やし、高くし、安静を保つことが大事です。熱い風呂に入って暖めたり、「鍛え方が足りないから運動すれば良くなる」などと体操したりすると翌日腫れがひどくなって余計に痛んだり、長引くことになりかねません。
 以上、「不適切」な応急手当の例を紹介しました。日ごろ注意して項ければ幸いです。
(平成10年11月掲載)
予防接種

田川小児医院
田 川 恒 之

皆さんは、ジェンナーという人の名前はご存じでしょうか。彼は、当時非常に恐れられていた天然痘を予防するためワクチンを作り、自分の子供を実験台として接種し成功しました。それから今年でちょうど200年の記念の年になります。大村地方においても、約150年前ころの文献によれば天然痘が大変流行していて、患者さんを古田山という場所に隔離したり、既に西洋から伝えられた種痘を開始しています。その後、次第に患者発生数は減少していきました。さらにWHOを中心に世界的に種痘を施行し、ついにこの世から天然痘は消滅したと発表するに至りました。
 ポリオ(脊髄性小児麻痺)も昔は恐ろしい病気で、昭和30年ごろまでは時々発生がありました。私は医師になって35年を過ぎましたが、ポリオの患者さんを診断したことはありません。それは、昭和30年頃からポリオワクチンの投与が始まったからです。何とすばらしいことではありませんか。しかし、一方世界に目を向けてみると、まだまだアフリカ、中東、インド、中国などにはかなりのポリオが発生しています。それは、資金と人材不足のためにポリオワクチンを投与されていないからです。しかし、近い将来ポリオもこの世から消滅することでしょう。現在行われている予防接種は、母子健康手帳の中に書いてありますが、ツベルクリン反応とBCG、ポリオ、麻疹、風疹、三種混合(百日咳、ジフテリア、破傷風)、日本脳炎です。
 大村市においては、ツ反、BCGとポリオは集団接種と言って、定められた場所に行って接種を受けます。その他のものは、かかりつけの医である診療所で、子どもの健康状態を見ながら接種を受けます。以上のように、子ども達に予防接種をちゃんと受けさせることで、それぞれの病気にかからなくなり、さらに流行も消滅するのです。ここ数年ほとんど診ることのなかった麻疹が、今年になって保育園を中心に発生しています。これらのほとんどの児が、ワクチン接種を受けていません。病気になってからは遅いのです。ぜひ、予防接種を早めに受けさせてください。いろいろ疑問のある点があられるならば、遠慮なく医師に相談してください。その他のワクチンとしては、インフルエンザ、流行性耳下腺炎、水痘などがあります。それぞれ自費接種ですが、病気になるよりはるかにいいと思います。
 予防接種を受けさせるのは、親の責任だと思います。
(平成8年6月掲載)
声がれについて

わたなべ耳鼻咽喉科医院
渡 辺  敬

 声のかれは、風邪に引き続いてしばしば起こる症状ですが、重大な病気や思わぬ病気の微候のことがありますので注意が必要です。
 肺に吸い込まれた空気が勢いよく吐き出される時、のどぼとけの裏側にある声帯が笛の役割をして振動することによって音声が生じます。声帯に何らかの異常が起こった時に声がかれますが、原因によってその声に特徴があり、専門医が声を聞くとある程度病気が推測されます。
 風邪で声帯に炎症が及ぶと声がかれますが、数日間は声を安静にすることが大切で、タバコやお酒は控えた方が無難です。
 職業的に声を酷使する人の声帯の両側にイボ状の腫れがよくみられますが、これを声帯結節といいます。
 子供にも同様のものが見られることがありますが、発声法を改めさせることにより大部分は治ります。
 声帯ポリープも声の過度の使用で起こる声帯の部分的な柔らかい腫れで、全体に及んだものをポリープ様声帯といいます。これらは良性ですが保存的に治らない場合、顕微鏡下摘出手術が行われます。術後は1週間位の沈黙が必要です。
 声帯に癌ができると声がれが初発症状となります。これがいわゆる喉頭癌で、喫煙との関係が深く、非喫煙者とは20倍位以上の発生率の差があります。また男女比は約10:1で男に多い癌です。早期に発見されれば、声を失うことなく、90%以上が治癒しますので、ヘビースモーカで声がれが続く人は早めに専門医を受診されることをお勧めします。
 最後に、声帯を動かす神経、すなわち反回神経の麻痺による声がれについて述べます。この神経は頚部から胸部まで長い走行をもっていますので、甲状腺、食道、大動脈、肺などの疾患に際して障害を受けることがあり、ノドに異常がない場合でも声がれが起こります。十分な検査が必要ですので、かかりつけ医や、耳鼻咽喉科医に相談してください。
(平成10年4月掲載
「生活習慣病」とその予防

渡辺医院
渡 辺 和 紀

 生活習慣病とは、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣(ライフスタイル)が、その発症・進行に関与する疾患群」と定義されています。代表的な生活習慣病としては、食習慣や運動習慣に関係したものとして、糖尿病・高脂血症・循環器系疾患など、喫煙に関係したものとして、肺癌・循環器系疾患など、飲酒に関係したものとして、アルコール性肝疾患などがあげられています。では我々日本人に身近な生活習慣病と、それを予防するのにより艮いと思われるライフスタイルを紹介します。
1.高血圧
 a.減塩:現在一日平均12g〜13gを10g以下に減らす。米国人の目標は6g以下。
 b.節酒:少量のアルコールは体によい。1日ビール720ml、ウイスキー60ml、日本酒一合以下が適量とされている。
 c.肥満対策:(身長m)2×22kgが目標。
 d.身体活動の増加:目安を速足(100m/分)25分、ジョギング(120m/分)20分程度。
2.糖尿病(特にインスリン非依存型)
  近年の糖尿病患者の急増は、脂肪摂取量の増加や自動車登録台数の増加と並行しているので、過食・運動不足を改善し肥満に注意して下さい。
3.動脈硬化
  動脈硬化は、喫煙・高脂血症・高血圧・肥満・糖尿病などが原因となるので、前述のライフスタイルを参考にして下さい。
4.癌
  癌の原因の1/3が喫煙・1/3が食物によると考えられています。例として日本人男性の肺癌の2/3は喫煙によると言われています。又、喫煙は他の多くの癌の危険因子として明らかです。食習慣としての方向は、四季を通じて多種類の野菜類や果物類を食べること、一日に600〜800gの多種類の穀類、豆類を食べること、砂糖は控え目に、アルコールは前述の範囲内に、赤身の肉(牛・豚)の代わりに魚や鶏肉を食べること、動物性脂肪の多い食品を抑えて、植物油を控え目に使用すること、塩分は一日10g以下を目標とすることなどが好ましい。
 以上の疾患の他に、ライフスタイルにより老年期痴呆・消化器疾患・アレルギー疾患・心身症など、多くの疾患の60%が予防可能とされています。少し生活習慣を変えてみませんか!
(平成10年11月掲載)
診断検査(テスト)結果の受けとめ方

大村共立病院
藤 井  薫

 集団検診などで、医師からテスト結果が陽性と告げられた時、どう受けとめればいいのだろうか?
 ここで、ある病気Dのテストとして、Dにかかっていれば、テスト結果は99%陽性にでて、かかっていなければ、テスト結果は99%陰性となる検査法があったとする。さらに一般人口の0.1%、つまり1000人に一人がこの病気にかかっているという統計結果がすでに得られていると仮定しよう。
 さて、Dのテストが10万人に実施されたとしよう。このうち何人が陽性になるだろうか?(表)。平均にこの10万人のうち100人(0.1%)がDにかかっているだろう。そしてこの100人の99%は陽性として判定されるから、99人がテスト結果陽性者となる。さらに残りの健康な9万9900人については、1%が陽性結果となり、陽性者の数は999人(9万9900人の1%)となる。こうして陽性の判定を受けた人の総数は999+99=1098人となるが、そのうちの大部分を占める999人が健康なのに誤って陽性の判定を受けてしまっていることになる。
 だから、テストで陽性と判定されたとしても、本当にDにかかっている可能性=確率は1098分の99、つまり9%ちょっとである。99%正確なテストでも、有病率の低い(この場合0.1%)集団で、このテストを実施すると、テスト結果陽性者の9割以上(91%)は、本当は健康なのにテストの性質から、誤って陽性判定をうけてしまうということになるのである。
 以上のような考え方を記憶にとどめておけば、集団検診などでテスト結果陽性と告げられても、かなり楽な気持で受けとめることができるかもしれない。
(平成11年4月掲載)
急増している大腸癌

フジイ胃腸科クリニック
藤 井 正 博

 わが国では食生活の欧米化で大腸がん患者は急増し、この30年間に大腸がんによる死亡者は5倍以上になり年間約2万4千人が亡くなっています。近い将来胃がんを抜くと予測されています。肉類を多く摂取すると、便の中の発がん物質が増えます。また、食物繊維が少ないと、便の量が少なくなるため、発がん物質を含んだ便が長時間、腸の中にとどまることになります。このように食生活の影響が大きいと考えられます。
 初期の大腸がんには典型的な症状はなく、進行してしまうまで自覚症状がないことが多いのです。従って、早期発見のためには大村市総合検診にも導入された便潜血検査が有効です。便潜血検査で陽性となった人や便通の変化や出血などの自覚症状のある人は、更に、注腸検査や内視鏡検査が必要となります。特に、最近めざましい進歩をとげた内視鏡検査は、苦痛も少なく短時間で行われるようになり隆起病変のみにとどまらず小さな平らな癌、陥没した癌の発見を今まで以上に容易にしました。また、ポリペクトミーという内視鏡によるポリープや癌の切除術があります。腸の中の様子を見ながら内視鏡の管を通して入れたワイヤーを病変にかけて高周波電波で焼き切ります。切り取った病変は回収し、良性か悪性か病理検査を行います。つまり、治療と検査が一石二鳥というわけです。
 将来、がん化する危険のあるポーリプができやすい40歳以上の人、以前に大腸がんの手術を受けた人、以前ポリープの見つかった人、出血など自覚症状のある人、大腸がんになりやすい家系に人は定期的に必要に応じた検査を受けた方がよいでしょう。
 最後に、大腸がんは治癒率のよいがんで、診断されても絶望することはありません。しかし、進行したがんは再発や転移のリスクも大きいため、やはり早期発見と治療が必要です。
(平成8年11月掲載)
大村市総合健康診査と胃癌検診の現状

フジイ胃腸科クリニック
藤 井 正 博

 大村市医師会は、大村市の委託を受け、昭和58年から一般基本診査として、また平成3年から総合健康診査として毎年継続して行い、市民の方々の疾病予防、早期発見のために行政とスクラムを組んで、取り組んできました。その結果、当初非常に低かった受診率も年々上昇し、平成6年には全国平均にほぼ匹敵するほどまでになり、さらにその後も順調に伸びています。
 受診率が上昇した背景として、すこやか検診(65歳〜69歳までのものに誕生日の翌月に無料利用券を送付。)と、節目検診(40歳、50歳、60歳の年齢の節目を迎えたものに誕生日の翌月に無料利用券を送付。30歳は婦人検診も含む。)の導入が大きく影響したことは否定できません。
 その結果、多くの方々の成人病と胃、大腸、肺、子宮、乳房各部癌が発見されています。この5年間で、胃癌27名、大腸癌27名、肺癌14名、子宮癌は18名、乳癌18名が、新たに見つかり、このように総合検診の市民の健康への効力は多大なものがあると推察できます。担当する我々医師会もいい加減な検診は許されません。
 さて、胃癌検診を例にとってみましょう。胃透視フィルムの読影で病変の見逃しが絶対あってはいけません。我々は、医師会内に胃透視読影班を作り、2名の医師が一組となり、4組計8名が交代で、全胃透視フィルムをチェックしています。最終的に主治医が判断する方式をとっており、二重三重のチェックが出来るようにしております。また医師会は2ヶ月に1回、国立長崎中央病院、大村市立病院のご協力のもと、消化管疾患の勉強会を行っており、そこで胃透視レントゲンフィルムの読み方や二次検診に使用される胃内視鏡フィルムの読み万、更に手術後の切除標本の解説まで検査および診断能力を質の高いものにするため、研さんを積んでおります。
 次に、内視鏡検査について、ちょっと触れてみたいと思います。最近は一般診療の中では内視鏡検査を希望する患者さんが少しずつ増えております。確かに、内視鏡機器の目覚ましい発展に伴い、症状のある患者さんには最初から胃内視鏡を施行する医療機関が増えたことは事実ですが、こと無症状の多集団を対象とする検診に関しては、内視鏡挿入による苦痛、危険性の問題、複数の医師によるチェックが出来ないという客観性の問題、また内視鏡医の数がまだ充足していない等の問題点もあり、まだまだ内視鏡は普及出来ていないのが現状です。それよりも増して従来から行われている胃透視は内視鏡にも勝るとも劣らない非常に優れた検査法です。しかしながら胃透視も万能ではないことを知っておかなければなりません。よって、内視鏡、胃透視それぞれの長所と短所があります。胃透視ではわかっても内視鏡ではわからない癌も実際には存在するのです。内視鏡と胃透視は表裏一体、車の両輪のようなものです。お互いがお互いの短所をカバーすることで初めて正確な診断がつくのです。これは消化器を専門とする医師には常識といっても過言ではありません。いずれにしても、総検胃癌検診を通して胃癌死亡者ゼロとなることが、我々消化器医の夢なのです。
(平成10年12月掲載)
アルコールと肝臓

南野クリニック
南 野  毅

 肝臓に悪影響を与える大きな原因として、ウイルスやアルコールなどがあります。ウイルスは肝臓の中で増殖して悪さをしますが、アルコールは自分で飲まない限り、肝臓に悪さをしません。つまり、自分の意思で良くも悪くもしてしまうのです。しかも、日本人は遺伝上、アルコールを分解する酵素が約半数の人になく、アルコールに弱い民族です。顔が赤くなる人は酵素がないと思ってください。しかし、アルコールはこの酵素がなくても、薬剤を解毒する別の代謝で、分解できるようになり、顔が赤くなっても酔いにくくなります。
 アルコールが肝臓に悪影響を及ぼすのは通常日本酒で毎日3合(またはビール大ビン3本=焼酎25度2合)以上を飲んだ時です。更に5合以上では確実に肝障害を起こし、女性は男性より少ない量で障害が起こりますので特に注意が必要です。
 肝臓は大変辛抱強い臓器ですが、毎日の蓄積がアルコール性肝障害を引き起こし、次第にアルコール性脂肪肝となり、時には急激な飲酒後に死に至るアルコール性肝炎やついにはアルコール性肝硬変へと進展します。
 ではどのようにつきあい、養生し、治療すればいいのでしょうか。これについては10月10日(体育の日)健康・福祉まつりのとき、日本消化器病学会の市民公開講座が市民会館で行われます。国立長崎中央病院臨床研究部部長 矢野右人先生が「肝臓病に関する知識」としてお酒の飲み方と肝臓病やウイルス性肝炎について、講演を予定されています。
 アルコールで身に覚えのある方や肝臓病で困っている方など、ぜひ多数ご参加ください。
(平成8年10月掲載)
にこにこペースの運動を

南野内科病院
南野 健

 現在は車社会になって運動が不足しているせいか、中年になると肥満になり、又、血液の中のコレステロールや中性脂肪の値が高い、いわゆる高脂血症の方が多くなりました。この高脂血症を放置すれば、血管の内壁に粥状硬化が起こり、血液の流れが悪くなって狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの病気を起こします。
 この病気は美食を避け腹八分目にして、運動をすれば防止することが出来ますが、単に運動と言ってもどんな運動でもすれば良いと言う訳でなく、50%強度の運動でなければ効果がありません。この50%強度の運動とは、1分間の脈拍が20歳で125、30歳で120、40歳で115、50から60歳台は110の強さで少し汗をかくけれどニコニコ笑いながら出来て、しかも途中で休みを取らず、30分間以上を続けます。ですから適当な運動としてはウォーキングなどが良いでしょう。
 この強さの運動を行えば、体内の脂肪は効果的に燃えますが、これ以上でも、これ以下の強さでも脂肪の燃え方が低下してかえって効果はありません。
 この運動は高脂血症や肥満の防止のみでなく、軽い高血圧症の血圧を下げ、糖尿病の血糖値を低下させます。ただし、高血圧症でも180以上の人は降圧剤の服用により血圧を下げてから運動を行ってください。また、運動を行う前に主治医のメディカルチェックを受けてから、行うことをお勧めします。
 肥満の方はその体重のため膝を悪くしていることが多いので、体重の影響を受けないプールでの水泳をお勧めします。泳げない人は陸上と同じニコニコペースでの水中歩行を行ってください。ニコニコ笑いながらの50%強度の運動が貴方の健康を支えます。
(平成10年3月掲載)
「眼」のつかれ

楠木眼科医院
楠 木 鉄 郎

 情報化社会といわれる現代では、目を酷使する機会が多く、それにつれて目の疲れを訴える人も多くなっています。人は外界からの情報の80%を目をとおして得ているといわれ、どうしたら能率よく目を働かせる事ができるか考えてみたいと思います。
 眼は非常にデリケートな器官で、眼に特に欠点はなくても、身体の疲れ・睡眠不足・二日酔い・精神的なストレスがたまったりした様な時は、字を読むのに根気がなくすぐ疲れる事はよく経験する事です。
 次に眼の方に欠点があって、眼の疲れの原因になるのも何種類かの原因があります。先ず遠視・近視・乱視などの屈折異常がある場合ですが、これはメガネで矯正する事により正しく見る事ができます。次に老視・調節衰弱など調節力が弱くなった場合ですが、これもメガネをあわせる事で補う事ができます。老眼鏡をかけると何となく年寄じみたりとか、度が早く進むと思って我慢している人がいますが、無理をして見るくせがなくなるだけのことです。次に斜視・斜位・眼筋麻痺などで両眼のバランスがとれなくなって疲れの原因になることがあります。
 次に眼に病気があっておこる事があります。例えば初期緑内障・結膜炎・角膜炎などがあっておこる場合で、その病気の治療をする事で防ぐ事ができます。
 走ったり、ボールを投げたりする場合は練習する事により、速く走ったり、ボールを遠くへ投げる事ができるでしょうが、眼の場合は鍛え直して眼の働きをよくする事はできませんので、今までのべた欠点を補って、なるべく負担を軽くする様に上手に使ってゆくことが眼の疲れを少なくすることだと思われます。
(平成9年8月掲載)