病気一口メモ

『メタボと脂肪肝
  『助けを呼んで胸を押せ!〜目の前で大切な人が倒れたら…〜
  『検診便潜血

 


『メタボと脂肪肝』

東彼杵郡医師会   中村 祐二


 脂肪肝の中に飲酒とはあまり関係ないNASHと呼ばれる病気があります。NASHは生活習慣病の一つで、非常に注目されている肝臓の病気です。飲酒歴がないにもかかわらず、肝組織所見がアルコール性感障害に似た所見を呈する疾患のことを非アルコール性脂肪肝炎(Non alcoholic steato-hepatits NASH)といいます。最近、日本人の間で肥満が増加しており、健康診断などで肥満と軽度の肝機能障害を伴い、超音波検査で脂肪肝を指摘される人が増えています。以前は、脂肪肝は可逆性で良性疾患と考えられていました。患者さんにも医師にも重大な病気だという認識がなかったようです。ところが、飲酒が原因でない脂肪肝の一部に、肝臓に壊死・炎症・線維化が起こり、中には肝硬変、肝細胞癌に発展する例があるということがわかってきました。肥満のある人でアルコールはあまり飲まない、肝機能異常が半年以上続く、ウィルスなど他の肝障害の原因がない人は、病院を受診して下さい。最終的には肝臓の組織の検査が必要になります。

 NASHは肥満、糖尿病を合併することが多いので、合併症の治療が中心となります。食事療法、運動療法が基本となります。体重は数キロ減量するだけで効果があるようです。ウルソ、ビタミンE、糖尿病治療薬などの薬物療法が必要となることもあります。

 生活習慣病が深刻化している現代、NASHはメタボリックシンドロームの肝障害として増加しています。病態が進むと肝硬変にも至る怖い病気で、その早期診断・治療が必要とされていますが、現在その診断は肝生検による組織診断が必須であり、このことがNASH患者の診断を困難にさせています。今後は、NASHの疑われる患者を、的確に拾い上げていく医療、行政側の取り組みも必要となります。

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『助けを呼んで胸を押せ! 〜目の前で大切な人が倒れたら〜

東彼杵郡医師会    松尾 圭

 
   

 目の前で人が倒れた場面に遭遇した時、あなたは何らかの行動をとることができますか?少しの知識と勇気さえあれば誰でも救命の連鎖をつなぐことができます。

 目の前で大切な家族(大人)が倒れて動かなくなりました。どうしましょうか?

@呼びかけて応答があるか確認します。
 反応なく、ほとんど息もしていません。

A助けを呼びます。(119版通報してAEDを持ってきてもらいます。)

Bすぐに胸骨圧迫を開始します。1分間に100回以上の速さで、5cm以上押します。
 胸の中央、胸骨の下半分を手のひらの付け根で強く押します。

C30回胸を押したら、人工呼吸を2回(マウス・ツー・マウスなど)を行います。
 人工呼吸に10秒以上かけてはいけません。

D胸骨圧迫30回、人工呼吸2回のセットを繰り返し行います。助けが来るまでひたすら続けます。人工呼吸する余裕が無い場合は、胸骨圧迫のみを続けても構いません。
 救助者が疲労する前に、交代する人が居ればすみやかに交代します。
<AEDは講習会などで使用法を勉強すれば、一般の方でも安全に使用出来ます。>

 AEDを装着して解析に入るまでは、胸骨圧迫を続けます。(AED:自動体外式除細動器)

 ショックボタンを押す前に、かならず安全確認をします!

 ショック施行後、またはショックの適応がない場合は、すぐに胸骨圧迫を再開します。

 目の前に居るあなたの勇気が、救命の連鎖をつなぎます!

 目の前に居るあなたの迅速な行動がなければ、次につなげることができません!

 救急隊の到着(日本の平均約6分)を待っていては、ほとんど助けられません!

 まずは助けを呼んで、胸を押す勇気を持ちましょう!!

 

注:119番通報を早急に行いましょう。傷病者の状態を電話口で説明すれば、適切な指示を出してもらえます。救急隊が到着するまで、支持に従って胸を押し続けましょう!

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『検診便潜血

長崎川棚医療センター消化器内科    岩永 真一

 

 検診の時期となり便潜血陽性での下部消化管内視鏡検査件数が増えて来ましたので、検診便潜血に関する事柄を説明させていただく事といたしました。

<大腸癌の動向>

 2008年の大腸癌による死亡数は、男性で第3位(23,592人)、女性では第1位(19,762人)です。50歳過ぎから増加し、高齢になるほど多くなるのが特徴です。

<大腸癌を疑う症状>

 肛門出血、便柱狭窄(便が細くなる)、便秘、便秘と下痢の繰り返しなどがあります。しかし、これらは進行癌の症状で、早期癌に症状はありません。

<大腸内視鏡検査>

 大腸を内視鏡で観察するため診断精度が高く、前述した症状で受診された場合、内視鏡検査を勧めます。しかし、2Lの腸管洗浄液を飲んで便を全部出す処置が必要である事、検査医の数が十分ではない事、検査に伴い苦痛や偶発症(腸管穿孔など)がある事などから、検診としては勧められておりません。

<便潜血検査>

 便の中に大腸癌からの微量な出血がないかを調べます。内視鏡検査より検査精度は劣りますが、安全・簡単・安価で一度に多くの検査が実施可能です。日本では一般的に免疫法が使用されておりヒトの血液のみ反応するため、食事や内服薬を制限する必要もありません。そのため、検診として強く推奨されています。不利益としては、偽陰性(病気があるのに陰性になる)による発見の遅れや偽陽性(病気がないのに陽性になる)による精神的苦痛や精査を受ける苦痛、偶発症が挙げられます。

<便潜血陽性となった場合>

 便潜血陽性のうち3%程度に大腸癌、40%程度にポリープがあるといわれ、必ず病気があるわけではありません。怖がる事なく精査を受けましょう。

<最後に>

 症例対照研究により便潜血検査の1日法による検診を毎年受診する事で大腸癌死亡が60%減る事が報告されています。100%癌が見つかる訳ではありませんが、検診の一環として便潜血を受ける様にしましょう。



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