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2008年10月20日掲載

皮膚の病気について


 皮膚の病気と一口にいっても、実に多くの種類があります。皮膚の病気は目に見えるので、注意すれば早く見つけられます。
一方、症状がないからと放っておくと、問題となるものも数多くあります。皮膚の病気について正しい知識を身に付けることは、皮膚の健康を保つ上でとても大切なのです。

 乾癬(かんせん)という病名をお聞きになったことはありますか。体のあちこちに、白いふけのようなものが付いた赤い発疹(ほっしん)が多発する病気です。

 日本では五百人に一人がかかっているとされ、皮膚の病気では代表的なものです。原因ははっきりしませんが、免疫系の“軍隊”であるT細胞と呼ばれる細胞が、誤って皮膚を攻撃するために起こると考えられています。ほかの人に感染することはありませんし、内臓を侵すこともありません。発疹の状態に応じて、塗り薬、内服薬、紫外線照射などを使い分けて治療しますが、治りにくく出没を繰り返します。

 膠原(こうげん)病という病名を耳にされたことがあると思いますが、一体どんな病気なのでしょうか。
 膠原病とは、内臓のうち二つ以上が障害されるものをいいます。具体的な病気としては関節リウマチなどが含まれますが、皮膚にもよく症状がでますので、皮膚の状態を調べることは大切です。

 まず、膠原病を疑う症状にレイノー症状があります。これは冷たいもの(冷水、冷房、冷凍食品、気温の低下など)に触れると、さっと指が白色または紫色に変わる症状です。手のむくんだ感じや朝の手のこわばりもよく見られる症状です。ひどい霜焼けも要注意です。これらの症状がありましたら皮膚科医に相談してください。

 円形脱毛症は、髪の毛が円形に抜けてしまう皮膚の病気です。ストレスがかかると円形脱毛症になると信じられていますが、原因はストレスだけでなく、前述したT細胞が毛を作る細胞を壊してしまうために毛が抜けるのです。普通は自然に治ってしまうことが多いのですが、症状の重い人には塗り薬や、わざと「かぶれ」を起こすような特殊な治療も行います。根気よく治療することが大切な病気です。

 ほくろにとてもよく似たがんがあります。メラノーマ(悪性黒色腫)といいますが、足の裏、つめに多くできます。小さいうちに切り取ってしまえば心配ありませんが、放っておくと転移を起こします。

 良性の「ほくろ」と見分ける方法は(1)大きさが六ミリ以上(2)形が丸くなく、いびつ(3)色が濃かったり、薄かったりする(4)周辺がにじみ出したような「しみだし」(5)盛り上がっている−などです。

 県内の皮膚科専門医の集まりである長崎臨床皮膚科医会は「皮膚の日」の記念イベントとして、十一月十五日(土)午後三時から、長崎市栄町の市医師会館で「教えて!皮膚の病気について」をテーマに講演会、相談会などを予定しています。ご自身の健康を守るためにも、ぜひ参加してください。

(長崎市坂本一丁目、長崎大大学院医歯薬学総合研究科皮膚病態学 教授  佐藤 伸一)

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