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2008年11月17日掲載

インフルエンザの予防法


 冬になると猛威を振るうインフルエンザ。毎年何十万人もの人がかかり、苦しめられます。流行するインフルエンザウイルスにはA型とB型があり、さらにA型はウイルス表面の物質の違いで香港型とソ連型に分かれます。最近よく話題になる新型インフルエンザはA型の一種です。

 インフルエンザの主な症状は悪寒を伴う急激な発熱、頭痛、筋肉痛です。せきや鼻水も見られ、腹痛、おう吐、下痢を伴うこともあります。小児では、けいれんを起こすこともあります。脳炎を起こし、死亡することもまれにあります。脳炎になるのは発熱後二、三日以内の場合が多く、熱が長く続いたためになるというわけではありません。

 予防法はまず第一に、流行時には人込みを避けることです。そして、インフルエンザにかかっている人との接触をなるべく控えることです。日常的にはうがい、手洗いが大切ですし、マスクの着用も有効です。体が冷えたり、疲れたりすると抵抗力が落ちて、病気をもらいやすくなるので注意しましょう。

 予防接種の有効性は高いときで70%、低いときは30%くらいとばらつきがあります。ワクチンにはA香港型、Aソ連型、B型ウイルスのそれぞれに対して有効成分が含まれています。しかし、この三種類のウイルスにはそれぞれ、何種類もの変異株があります。そして流行する株も年によって変わります。ワクチンは流行しそうな株を予想して作られます。流行する株とワクチンの株が一致すれば、ワクチンの有効率は高くなり、異なれば低くなります。ワクチンは接種後、四、五カ月間有効です。

 予防接種は生後六カ月から受けることができます。十三歳以上は一回の接種ですが、十二歳以下は二回になります。発熱時や体調が悪い時は受けられません。妊婦は妊娠初期であれば避けた方がいいですが、中期以降ならばできないことはありません。授乳している人も接種可能です。母乳に微量のワクチンが移行しますが、乳児への影響はほとんどないようです。お産直後の人は体調がほぼ回復する一カ月検診の後まで待った方がいいでしょう。

 ワクチンとアレルギーの関係ですが、ワクチンには鶏卵の成分が入っています。しかし、少量ですので、軽い卵アレルギーの人は受けても大丈夫です。アレルギーで重篤な症状を起こしたことがある人は皮内反応という簡単な検査をして、接種可能かどうか決定します。副作用としては接種部位の腫れ、痛みが出ることがありますが、重度の副作用は少なく、比較的安全なワクチンです。

 薬で予防する方法もあります。インフルエンザ発症後の治療に用いる薬を、量を減らして服用します。服用している間はインフルエンザにかかる可能性は大変低くなります。ただし、保険の適用はありませんので、負担額は高くなります。希望する人は医療機関に相談してください。

 今年の冬はインフルエンザにかからず、健康に過ごしたいものです。


(長崎市江川町、片山小児科医院 院長  片山 和弘)

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