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2009年6月15日掲載

がん緩和ケア

 「緩和ケア」とはがんに伴う痛み、心の悩み、療養場所、医療費のことなど、がん患者や家族が直面するさまざまな問題を解決する医療のことです。病気の時期や療養の場所を問わず、いつでもどこでも提供されることが重要です。

 現在、日本は諸外国に比べ、緩和ケアサービスが不十分で、痛みを和らげる医療用麻薬の利用も少ない状況です。がん患者の多くが病院で亡くなっているように、患者の希望に沿った場所で満足のいく療養生活を送るのは難しくなっています。

 2007年に成立したがん対策基本法16条は、早期からの緩和ケアの推進と、在宅ケア連携体制を確保することをうたっています。これを受け、厚生労働省は08年度より、日本の緩和ケアの地域モデルをつくることを目的に、がん対策のための戦略研究「緩和ケア普及のための地域プロジェクト」を開始しました。

 その中で、長崎市は山形県鶴岡市、千葉県柏地域、静岡県浜松市とともに全国4カ所のモデル地域の一つに選ばれ、長崎市医師会を中心としたチーム(統括責任者・野田剛稔市医師会長)が3年間のプロジェクトに取り組むことになりました。

 具体的には「がん診療連携拠点病院」に指定された長崎大学病院、市立市民病院、長崎原爆病院をはじめ、緩和ケア病棟を持つ病院、一般病院、診療所、薬局などが連携し、退院が長引きそうな患者さんへの支援や在宅患者の緩和ケアに取り組んでいます。

 市民向けの活動拠点として、同市栄町の市医師会館内に「長崎がん相談支援センター」を設置しています。相談を受け付けるほか、痛みや治療についての公開講座、自治会へのプロジェクト説明、出張講座なども行っています。入院、外来通院、在宅療養などがんに関する悩みがあれば、遠慮なく同センターに問い合わせてください。

 今月27日には市医師会市民健康講座「がんの痛みに苦しまないで〜あなたを支える、地域で支える」を予定しています。がんの告知・治療の中止にかかわる諸問題から医療用麻薬、同センターやがん診療連携拠点病院の状況について話をします。お誘い合わせの上、参加してください。

 ◆第19回長崎市医師会市民健康講座「がんの痛みに苦しまないで〜あなたを支える、地域で支える」
・日時 6月27日(土)午後2時〜4時
・場所 長崎市医師会館7階講堂(栄町2の22)
・プログラム
▽第1部「がん患者さんを支える〜『こころ』と『からだ』の痛みケア」
 (1)がんの告知、治療の中止〜その時家族は?
 (2)痛みを和らげましょう〜医療用麻薬では中毒にはなりません
▽第2部「地域で支える〜相談支援センターにご相談ください」
 入場無料。申し込み締め切りは20日。問い合わせは長崎がん相談支援センター(電095・893・6621)。


(長崎市片淵1丁目、白髭内科医院 院長 長崎市医師会 理事      
緩和ケア普及のための地域プロジェクト プロジェクトリーダー  白髭 豊 )

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