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2009年10月19日掲載

皮膚の病気について

 皮膚の病気には実にさまざまな種類のものが存在します。皮膚の病気は目に見えるので、普段から注意していると早く見つけることができます。これは、内臓などの病気と大きく違う点です。

 皮膚の病気には最初は全く症状がなく、判断が難しいものもたくさんあります。皮膚の病気について正しい知識を身に付けることは、皮膚の健康を保つ上でとても大切になってきます。

 皮膚がんも、いろいろな種類があります。代表的なものに、紫外線の刺激を長い間受け続ける場所に出てくる初期の皮膚がんがあります。「日光角化症」といいます。最初のころはシミや湿疹(しっしん)に見えるため、なかなか診断が難しいものです。

 長年、戸外で仕事をされていた人は発生しやすくなります。表面に「角化」といって少しかさかさした部分があるのが特徴です。顔面・下唇や手の甲に発生することが多いようです。

 治療法には腫瘍(しゅよう)を切除する方法をはじめ、薄く削り取る方法や液体窒素で凝固させて除去する方法などがあります。腫瘍が大きくなり、腫瘤(しゅりゅう)をつくるようになると「有棘(ゆうきょく)細胞がん」という皮膚がんに進行し、他の臓器に転移することもあります。

 有棘細胞がんになってしまうと切除する範囲も大きく、手術後の抗がん剤や放射線治療が必要になる場合もありますので、早期発見・治療が大事になってきます。

 ほくろによく似たがんもあります。「メラノーマ(悪性黒色腫)」というがんですが、日本人では足の裏やつめに多くできるのが特徴です。小さいうちに切除すれば大丈夫ですが、大きくなると転移を起こします。他の皮膚がんに比べ広範囲に切除しないといけない場合が多いようです。また、手術後の抗がん剤治療が必要になることも多くなります。

 ほくろとメラノーマの区別は非常に難しいのですが、ポイントがあります。(1)大きさが6ミリより大きい(2)形が左右対称でなくいびつ(3)色が濃かったり、薄かったりむらがある(4)どこからどこまでが、ほくろかはっきりしない(5)だんだんと大きくなってきている−などの特徴があればメラノーマの可能性があります。

 ほかに「乳房外パジェット病」という皮膚がんにも注意が必要です。この皮膚がんは、ほとんどが陰部に発生するという特徴があります。

 最初は陰部にできた湿疹や股部白癬(こぶはくせん=インキンタムシ)とほとんど区別がつかないため、初期には判断が非常に難しいと思われます。市販の塗り薬をずっと使っていて発見が遅れることもあります。発生する場所が陰部であるため皮膚科への受診がためらわれるかと思いますが、専門医の経過観察や皮膚の細胞検査が大事だと思われます。

 まだまだ数多くの種類の皮膚がんがありますが、皮膚がんは外から異常を疑うことができる病気です。おかしいと感じたときにはすぐに皮膚科専門医に相談してください。

(長崎大学病院皮膚科・アレルギー科 講師  小川 文秀)

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