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2010年2月15日掲載

最も多い症状の一つ『めまい』

 「目がぐるぐる回る」「体がフラフラする」など、いわゆるめまい症状を経験された人は多いと思います。めまいは頭痛や腹痛などと並んで最も多い症状の一つです。多くの場合、症状は一時的で、すぐに治ってしまいますが、嘔吐(おうと)や吐き気を伴うことも多く、日常生活にも支障を来します。患者さんにとっては二度と経験したくないつらい症状です。

 めまいはどうして起こるのでしょうか。私たちの体は耳、目、筋肉などからの情報を統合して体のバランスを保っています。これらの情報がうまく統合されなくなるとバランスが崩れ、めまいが起こるわけです。

 その原因としては脳の病気、血圧の変動や不整脈などの全身の病気、耳の病気など多岐にわたります。脳の中でも小脳や脳幹は、体のバランスを制御するコントロールセンターの役割を担っています。脳梗塞(こうそく)や脳血管の血流障害により、めまいを起こす場合もあります。頻度は多くありませんが、脳の病気が疑われる場合にはCT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像装置)といった画像検査で詳しく調べる必要があります。

 全身の病気では、不整脈が原因で一時的に脳の血液の流れが悪くなってめまいを起こす場合や、血圧の調節がうまくいかず、立ちくらみのような症状を起こす「起立性調節障害」という病気などがあります。この場合は「シェロング検査」といって、10分間の安静前後の血圧と、10分間の起立前後の血圧を測定し、最高血圧、脈拍、脈圧(最高血圧と最低血圧の差)を調べ、他の病気との鑑別を行います。

 耳の病気でもめまいは起こります。特に内耳には音を感じる「蝸牛(かぎゅう)」という部分や、平衡感覚をつかさどる三半規管、前庭があり、めまいの原因になることも少なくありません。よく知られた病気には「メニエール病」「めまいを伴う突発性難聴」「良性発作性頭位めまい症」などがあります。いずれも命に直接かかわる病気ではありませんが、繰り返す場合も多く、仕事に支障を来すなど生活の質を大きく低下させてしまいます。

 治療方法を決定する際には、めまいを起こしている原因疾患を診断するところから始まります。難聴や耳鳴りなどの症状がなくても寝たり起きたり、寝返りをうつたびに激しく目が回るなどの症状を繰り返すようであれば、三半規管に原因がある良性発作性頭位めまい症の可能性があります。その場合は、耳鼻咽喉(いんこう)科医療機関を受診してください。

 日本耳鼻咽喉科学会長崎県地方部会と県耳鼻咽喉科医会は3月7日(日曜日)午後1時から佐世保市三浦町のアルカスSASEBOで、「耳の日公開講座&相談会」を開きます。めまいや最近の補聴器の話題などについての講演、耳が不自由な人を介助する聴導犬の紹介、補聴機器の展示・相談会などを予定しています。講座のパンフレットは県内の耳鼻咽喉科医療機関や行政機関に掲示しています。ぜひ、気軽にお立ち寄りください。

(佐世保市早岐2丁目、川尻医院 院長  川尻 逸平)

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