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2011年10月17日掲載

「皮膚の日」に寄せて 来月12日、長崎で講演・相談会

「膠原病の皮膚病変」

 膠原(こうげん)病は腎臓、肺、心臓、皮膚などさまざまな器官に障害を引き起こす疾患の総称です。普段は外部からの異物、細菌、ウイルスなどに対して働く免疫が自分の体に対して間違って働いてしまった結果、病気が引き起こされる「自己免疫性疾患」の一つになります。

 代表的な膠原病疾患には全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、混合性結合組織病、シェーグレン症候群、全身性強皮症などがあります。症状は患者さん個々でかなり異なり、重症から軽症の人までさまざまです。病名だけで過度に心配するのはよくありません。

 膠原病の最初の症状として、皮膚にそのサインが現れることがあります。全身性エリテマトーデスの代表的な皮疹として、頬に蝶(ちょう)のような赤い発疹が出現する蝶形紅斑があります。これは接触性皮膚炎(かぶれ)や脂漏性皮膚炎と間違えやすい症状です。

 全身性強皮症は全身の皮膚やいろいろな臓器に線維化が生じてしまう疾患です。初期の皮膚症状としては、冬の寒い時に指の何本かが白く変色し、温めるとその色が紫から赤へと戻っていく「レイノー症状」や、爪の甘皮の部分に茶色の点状出血が出現する「爪上皮出血点」などがあります。

 皮膚筋炎では両方の上まぶたが薄紫色に腫れてくる「ヘリオトロープ疹」や、指関節の背面に紅斑と角化(硬くなること)が生じる「ゴットロンサイン」が多く認められます。

 このように膠原病それぞれに特徴的な皮膚症状があります。日頃から皮膚を注意深く見ておくことで膠原病を早期に発見し、治療や検査を行うことができます。

(長崎大学病院皮膚科・アレルギー科 講師  小川 文秀)

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