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2013年1月21日掲載

「ご存じですかまちんなかラウンジ」


皆さんは「長崎市包括ケアまちんなかラウンジ」をご存じですか。

 長崎市が医療と介護・福祉に関する相談ができ、支援につなげられる相談窓口として、2011年6月に県庁近くの江戸町センタービル2階に開設した事務所です。その運営を長崎市医師会が受託しています。

 開設のきっかけは、市医師会が08年度から10年度にかけて、厚生労働省の「緩和ケア普及のための地域プロジェクト(OPTIM)」の全国四つのモデル地域の一つに選ばれたことです。3年間の活動で(1)緩和ケアの標準化(2)地域連携の構築(3)専門的緩和ケアの利便性の向上(4)市民への情報提供の場の増加−といった成果を残すことができました。

 国の事業としては終了しましたが、少子高齢化の中、さらに発展的な地域包括ケアシステムをつくっていく必要があるとして、長崎市が事業主体となり、まちんなかラウンジの設置が決まったのです。

 ラウンジの目的は医療・介護・福祉の総合相談を行い、在宅医療提供機関との連携を図ることにより、市民が病気や障害を余儀なくされた場合でも安心して療養の場所を選択し、充実した生活が過ごせるよう支援することにあります。相談者が、自分自身で解決策を見いだせるように支援すること、適切な情報提供によりその人の持てる力を取り戻し、その力を高めるよう支援することを目標にしています。

 具体的な業務としては(1)がんなどに関する医療相談と、介護・福祉に関する相談を包括的に受け付けるワンストップの総合相談窓口(2)緩和ケアや在宅医療などに関する啓発(3)在宅医療を行う機関などとの連携−の三つの柱があります。

 総合相談で開設から昨年11月までに受け付けたのは、がん・難病その他疾病および在宅支援に関する医療相談延べ1031人、介護・福祉全般に関する相談延べ325人の計延べ1356人に上ります。

 啓発業務では、市民や患者さんとその家族を対象にミニ講演や交流会を行う「まちんなかサロン」を毎月2回開催。保健所などで難病ふれあい教室、ピアサポーター養成講座を開いています。訪問医や訪問薬剤師らによる緩和ケア講座、在宅医療講座、ラウンジスタッフの看護師、社会福祉士による出張講座を公民館などで実施いたしました。

 在宅医療機関などとの連携では、病院や在宅医、訪問看護ステーションとの連携体制を促進したり、医療・介護・福祉の職能団体の実務者でつくる地域連絡調整会議で多職種の連携事例の検討を行いました。介護・福祉施設従事者研修会を開くなど、在宅療養へのスムーズな移行の一助となるような活動も行っています。

 まちんなかラウンジは国内でも先駆的な取り組みで発展途上にありますが、患者さんや家族の不安を和らげ、疑問を解消するため、できる限りのサポートをしっかり行っていく必要があります。市民の声を大切にしながら、365日活動できる相談窓口を目指したいと考えています。

(長崎市医師会 理事  橋本 清)

 

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