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2013年2月4日掲載

「高血圧について」


 日本人の3人に1人は高血圧といわれています。原因は不明ですが、体質の遺伝と生活習慣が考えられます。両親が高血圧であればその子どもの6割、片親が高血圧の場合は子の3割程度が高血圧になるとされます。両親が正常血圧ならば、5%程度の子しか高血圧にはなりません。薬のお世話にならないためには、生活習慣の改善に努力するしかありません。

 血圧の薬は一度飲んだらずっと飲まないといけないのか、とよく聞かれます。それは飲まなければいけません。血圧が高いままでは、近い将来に循環器病の併発が考えられるからです。循環器病とは脳卒中、心不全、心筋梗塞、不整脈、腎不全、動脈瘤(りゅう)など。高血圧治療により脳卒中の死亡率は4割、心筋梗塞の死亡率も3割程度は低下するというデータもあります。

 生活習慣が改善し内服不要となる場合もありますが、加齢とともに血圧は上昇する傾向にあるため、いったん服薬を中止しても再度内服することも多々あります。高血圧のまま放置していると死亡率も上昇します。内服継続は認知症の予防にもつながります。

 血圧の薬を飲み続けて体に悪い影響はないのか、とも聞かれます。この点は、ありませんと申しておきます。ほてり、めまい、ふらつき、動悸(どうき)などの小さな副作用があることも多いのですが、医師の管理下で命取りになるような副作用はありません。

 では、高血圧とはどれくらいの値を呼ぶのでしょうか。学会などのガイドラインでは細かく提唱されていますが、とりあえず140/90mmHg以上と考えてください。家庭で測る場合はそれより5mmHg低めと考えると良いでしょう。測定機器は腕に巻いて使用する血圧計の方が良いようで、測定時は腕を心臓の高さまで上げ行うと正確な値になります。

 血圧は常に変動しています。朝起きたら血圧は上昇し、昼間は活動していますから高めで、寝ているときは下がります。冬は高めになりがちです。朝起きて排尿後の一息ついた朝食前と、夜は就寝前の計2回は測定するといいでしょう。1日に何度も測る必要はありません。

 起床時から短時間で急激な血圧上昇が起きるモーニングサージという現象があります。朝と夜の血圧の差が55mmHg以上あると、脳卒中の危険性が3倍高いといわれており、注意が必要です。夜間からの高血圧が持続したタイプと、夜間は低めで朝から上昇するタイプがあります。朝から上昇するタイプは交感神経活動と、副腎皮質刺激ホルモン活性の高進が関与していますので、治療には一工夫必要です。

 一般的な高血圧とは別に、明らかな原因疾患があって生じる二次性高血圧もありますが、全体の5%程度です。

 高血圧は、症状がなくても放置はよくありません。サイレントキラー(静かなる殺人者)ともいわれています。気になるときは近くの病院、医院を受診しましょう。

(長崎市新地町、西じま内科クリニック 院長  西島 敦治)

 

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