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2013年9月16日掲載

「ロコモの予防」

 骨や関節、筋肉などの運動器の衰えや障害で介護が必要な状態、または必要になる可能性の高い状態を運動器症候群(ロコモティブシンドローム=以下ロコモ)といいます。

 ロコモ対策として、七つの項目からなるロコモ自己判断テストというものがあります。

 (1)片脚立ちで靴下が履けない。

 (2)家の中でつまずいたり滑ったりする。

 (3)階段を上るのに手すりが必要である。

 (4)横断歩道を青信号で渡りきれない。

 (5)15分くらい続けて歩けない。

 (6)2キロ程度のもの(1リットルの牛乳パック2個程度)の買い物で持ち帰りが困難。

 (7)家のやや重い仕事(掃除機の使用や布団の上げ下ろしなど)が困難。

 いかがでしょうか。この中で一つでも当てはまれば、ロコモの疑いがあります。最寄りの整形外科専門医の診察を受けましょう。手術適応という場合もありますから、その必要がないと診断されたのであればひとまずは安心です。

 ロコモを予防するには日ごろの運動と食事が大切です。次にそのポイントを紹介します。

 (1)平たんな道を歩行
 歩くことは重要で、日常的に簡単にできる運動でもあります。背筋を伸ばし、歩幅は大きく、早足で、腕の振りを大きくします。時間は30分を目安にしましょう。

 (2)坂道、階段の昇降
 坂道、階段、特に上りは効率よい運動の場所です。平たんな道と比較すると2〜3倍もの負荷がかかるので、エネルギー消費量が多くなります。それだけ短時間で効率よく運動できるというのが最大のメリットです。最初は15分を目安にしましょう。

 長崎市などでは坂道や階段が非常に多く、利用しない手はありません。通勤などの移動、建物内の移動でもエレベーターやエスカレーターをできるだけ使わず、階段を利用することを積極的に行いましょう。

 ただし、階段は平たんな道を歩くのとは違い、早足を意識するとつまずいて転倒する危険性もあります。必ずゆっくり上り下りするようにしましょう。ゆっくり動いた方が足には負荷がかかるので、運動効率も高まります。高齢者の場合は、特に転倒に注意が必要です。手すりのある階段で行うようにすると、転倒骨折のリスクを減らすことができます。

 (3)バランスの良い食事
 筋肉と骨の量は何もしなければ、年齢とともに減少します。このためまずは、体、特に筋肉を作るもととしてタンパク質を適度に摂取することを心掛けましょう。タンパク質を多く含む食品には肉、魚、卵、乳製品、大豆製品があります。

 ただ、タンパク質だけに偏らず、炭水化物、ビタミン、鉄、脂質、カルシウムなども含め、バランス良く栄養を取る必要があります。いろんな食品を組み合わせて、効率よく栄養摂取しましょう。

 積極的に予防を行い、介護のいらない生活を目指しましょう。


(長崎市光町、山崎整形外科 院長  山崎 浩二郎)


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