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2013年10月21日掲載

「皮膚の日」講演会

 11月12日の「皮膚の日」にちなみ、長崎臨床皮膚科医会などは10月26日午後3〜5時、長崎市栄町の市医師会館で「ひふの日講演会」(入場無料)を開きます。今回はその講演2題について簡単に紹介します。


◎「皮膚がんと紫外線」

 紫外線は多くの皮膚腫瘍を発生させます。「としよりいぼ」と呼ばれる皮膚の良性腫瘍だけでなく、顔面に生じる皮膚がんの大部分は紫外線によって生じます。そのうち、生命に関わることのある次の三つは特に重要です。

 (1)有棘(ゆうきょく)細胞がん 皮膚の表面に存在する表皮細胞のがんであり、隆起や潰瘍を呈します。放置すると転移の危険性があります。その前段階である日光角化症は、高齢者の顔面に見られるごくありふれた疾患です。

 (2)口唇部有棘細胞がん 下口唇赤唇部に発生し、硬結や潰瘍を呈し、転移の危険性の高いがんです。下口唇にくり返すただれは、その初期である日光口唇炎の可能性があります。

 (3)悪性黒子黒色腫 悪性黒子黒色腫はほくろのがんといわれる悪性黒色腫の一つで、生命の危険性の高い腫瘍です。その初期の悪性黒子は「しみ」と思われがちですが、色調の濃淡差と形の不整が特徴です。

 皮膚がんの予防策は第一に直射日光を避けることですが、十分な日焼け止めクリームの塗布や帽子などによる遮光対策も有用です。しみや腫瘍に気付いたら、その変化に注意しておくことが大切です。

(長崎市新地町、市立市民病院皮膚科 主任診療部長  廣瀬 寮二)


◎「ニキビについて」

 皆さん、ニキビは「青春のシンボル。放っておいても勝手に治るから大丈夫!」なんて思っていませんか。ニキビを放っておいて、つい触ったりつぶしたりして痕になったりしていませんか。

 まず申し上げたいことは、ニキビはれっきとした「皮膚の病気」ということです。ニキビをつぶして痕になってしまったらもう大変! 一度、ニキビ痕になった肌をきれいに戻すのはとても難しく、コンプレックスを抱く原因にもなりかねません。

 ですから、早い段階で適切にニキビを治療することは、生活の質の低下を防ぐためにも大事なのです。

 残念ながら、日本ではニキビを医療機関(皮膚科)で治療するという考えが十分に広まっていません。一方で、海外では7〜8割の人がニキビの治療のために医療機関を受診しています。近年、日本でも新たな治療薬が出現し、皮膚科医はニキビの予防から治療まで幅広く、皆さんに提供できるようになりました。

 ニキビに対する確立した医薬品を提供できるのは皮膚科です。「ひふの日講演会」ではこのニキビについて詳しくお話します。ぜひこの機会にニキビの知識を深めましょう。

(長崎大学病院皮膚科・アレルギー科 助教  鍬塚 大)


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