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2013年11月4日掲載

「思春期の性と健康」講演会


 思春期とは二次性徴の発現から成熟までの期間で、十歳ころから十八歳くらいまでを指します。思春期の特徴は男性では、身長が高くなる、肩幅が広くなる、心臓や肺が大きくなる。女性では、皮下脂肪がつきやすくなる、乳房が発達してくる、骨盤が大きくなる。同時に脳も体の一部であり、「心の変化」が起こることにあります。

 この変化は性ホルモンの働きにより起こり、外見の変化は個人差も大きいものです。日本性感染症学会は中高生指導用の性感染症予防啓発スライドを公開し、インターネットを利用した理性と知性を磨く教育を推奨しています。

 思春期の過ごし方は、自分の心と体の変化を受け入れ、悩みを相談できる人間関係を作り、自分と相手を尊重する豊かな心を育てることが大事です。そして性欲が起こってきた場合、性交渉の有害事象、つまり望まざる妊娠と性感染症というリスクを頭に浮かべて、冷静に対応することが重要です。

  性器クラミジア感染症の原因はクラミジア・トラコマティスの感染で、感染してから症状が出るまで一〜三週間要します。感染経路は、性器から性器、咽頭から性器であり、男性は外尿道口から分泌物が出て、排尿痛や痒みがあります。女性は膣分泌物(帯下)や性器出血、下腹部痛を来たします。治療は抗菌薬の内服で、感染していても症状が出ないことが多く、検査をしなければわかりません。クラミジアを放っておくと、赤ちゃんができなくなることがあります。流産や早産、激しい腹痛を起こすことがあります。

 HIVとはエイズの原因となるウィルスのことで、HIV自体が性行為によりヒトからヒトへうつります。HIVに感染すると、ある期間の後、体内でウィルスが増え、エイズという病気になります。感染は保健所などの検査で確認ができます。エイズとは、体の免疫機能が低下した状態で、免疫力が正常な人なら発症しない微生物でも病気になってしまいます。

 ヒト乳頭腫(パピローマ)ウィルスには百種類以上があり、低リスク型から高リスク型までさまざま。ペニス、膣、肛門、咽頭に感染を起こします。低リスク型では尖圭コンジローマ(いぼ)、高リスク型では、子宮頸がんにつながる場合があり、二十代の女性の子宮頸がんが増加傾向にありこれは性感染症の蔓延上にあります。

  どうすればよいのかは、予防することが一番重要で、セックスしないことも予防の一つです。敢えてセックスするなら必ずコンドームを着用すること。コンドームなどを使わずにセックスをしてもよいのは、互いに感染がないとき、愛する相手との間に子供を産み、育てることができ、しかも相手もそれを望みかつ、それが出来る条件が整っているときだけです。

 もし、セックスに走ってしまい感染している心配があるなら、病院、保健所などで検査を受け、感染していたらパートナーと共に治療をすることが大切です。

(長崎市田中町 東長崎皮ふ科泌尿器科医院 院長  居原 健)



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