2014年1月20日掲載
「COPD検診受けよう」
皆さんは「COPD(シー・オー・ピー・ディ−)」という病気を耳にしたことがありますか? COPDは、Chronic Obstructive
Pulmonary Disease(慢性閉塞=へいそく=性肺疾患)の各単語の頭文字をとってこう呼ばれています。気管支や肺に炎症が持続するため気管支における空気の流れが悪くなり、また肺がパンパンに膨張することによって、体を動かすときに息切れを感じるようになる病気です。進行すると、着替えや食事をするだけでも呼吸が苦しくなり、酸素吸入が必要になる場合もあります。
COPDの有病率や死亡率は世界的に高いレベルにあります。2004年の世界保健機関(WHO)の調査ではCOPDは死因の第4位となっており、今後数十年間は世界の患者数が増加すると予測されています。日本では10年度以降、死因の第9位であり、10年度にはこの病気による死亡者が1万6千人を超えました。昨今の交通事故死亡者数が年間5千人未満であることと比較するとその多さが分かると思います。
たばこ煙がこの病気を起こす最大の原因です。COPD患者の約90%は、現在喫煙しているか、あるいは以前に喫煙したことのある人たちです。こういう人たちでは、この病気による死亡率は、たばこを吸ったことのない人に比べ、約10倍も高いのです。また、たばこを吸わない人でも周りの喫煙者によるたばこの煙を吸うこと(受動喫煙)でこの病気を起こすこともあります。
この病気による初期症状は体を動かすときの息切れ、せき、たんなどですが、早期にはなかなか症状を自覚することは少なく、単に「年のせい」と考えて発見が遅れることが非常に多い病気なのです。しかし、早期から適切な検査と治療を受けることで病気の進行を遅らせることができます。
診断は呼吸機能検査の施行と、同じような症状の見られる他の病気を除外することで行います。COPDと診断されたら禁煙、気管支を広げる薬の吸入、呼吸リハビリ、栄養管理、呼吸器系の感染予防などが重要となります。
長崎市医師会の臨床内科医会は、長崎大医学部の教室と提携してこの病気の早期発見のための検診を昨年8月から開始しました。内容は簡単な問診と呼吸機能検査です。特に喫煙者はぜひこの検診で「肺の健康度」をチェックしてください。もしCOPDの疑いがあると判定された場合は、かかりつけの医療機関か呼吸機能検査を施行できる医療機関への紹介状をお渡ししますので、紹介状先の医師とよく相談してください。
検診対象は40歳以上の長崎市民です。ただし、気胸の既往のある方、COPDで既に通院されている方は検診の対象外ですのでご注意願います。
1月と2月の検診予定は次の通りです。
第6回=1月26日(日)
第7回=2月23日(日)
会場=いずれも長崎市民会館地下1階
受付時間=いずれも午前10時〜正午の2時間
検診料=無料
(長崎市医師会 理事 井手 政利)
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