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2014年4月7日掲載

「骨粗しょう症の症状と治療法」


 骨粗しょう症とは全身の骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。患者数は全国で1千万人を超えていると推測されていますが、その症状はさまざまです。

 一番多い症状は背中や腰の鈍痛(背中が重い感じ、ずんとした痛み、全体的な痛み)です。買い物などで重い荷物を持ったとき、椅子から立ち上がるとき、掃除など前かがみの姿勢をとったときなどに背中や腰に痛みが出ます。また背中が曲がってきたり、身長が縮んだりもします。

 ここで注意しないといけないことは、身長が縮むことにより脊柱管狭窄(きょうさく)症を引き起こすことがあることです。脊柱管狭窄症では長い距離を続けて歩けず休み休みの歩行になったり、足の裏に違和感(焼ける感じ、一枚皮がかぶった感じ、何かが張り付いた感じ)が出たりします。さらに足先の力が落ちて足先がひっかかってつまずきやすくなったり、お尻や太ももの裏がジンジンしたりします。

 そして、骨粗しょう症になると骨折しやすくなります。転倒して股関節の骨折(大腿(だいたい)骨近位部骨折)を来すと手術を含め長期間の治療が必要となり、全身の機能が落ちて、寝たきりなど介護が必要な状態になる場合もあります。
 また、尻もちや重い物を持っただけで背骨の骨折(脊椎圧迫骨折)を起こすことがあり、背中が丸く曲がってきた方の中には気付かないうちに背骨の骨折を起こしているケースもあります。風呂場で足を滑らせて脇腹を打ったり、風邪などでせき込んだだけで肋骨(ろっこつ)骨折を来す場合もあります。

 このように骨粗しょう症は背中や腰の痛みだけではなく、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。

 骨粗しょう症も早期発見、早期治療が重要です。このような症状が出てきた方や特に50歳以上の女性は一度、骨密度検査を受けてみることをお勧めします。CTや超音波などによる検査で痛みは全くなく、短時間で安全に終了します。早めに検査しておくことが骨粗しょう症の予防につながり、将来も生き生きとした生活を送れる鍵になると思います。

 治療はその人に合った治療法を選択できます。飲み薬、注射、点滴など最近は効果的な新しい薬が開発されており、治療により骨密度が増加する例が増えてきました。併せて生活指導(散歩など軽い運動、日光浴)、食事指導(カルシウムの摂取)なども行われます。定期的(半年に1度)に骨密度検査をすることによって現在の治療法が自分に合っているか確認できます。

 最後になりますが、インターネット上に世界保健機関(WHO)が開発した将来の骨折発生の危険性を計算するサイトがあります。インターネット検索で「FRAX」と入力し、10個ほどのアンケートに答えると、今後10年以内の骨粗しょう症による骨折(背骨、手首、股関節、肩の骨折)の発生リスクと大腿骨近位部骨折(足の付け根の骨折)の発生リスクが計算されます。一度試してみてはいかがでしょうか。

(長崎市新大工町、おおぞら整形外科 院長  原田 真一)

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