2014年4月21日掲載
「かかりつけ医について」
早速ですが、皆さんは「かかりつけ医」をお持ちですか。
かかりつけ医というと、風邪をひいたり、ちょっとけがをしたりしたときに受診するような病院と思われる方もいらっしゃるでしょう。また、すでに高血圧や糖尿病、高脂血症といった生活習慣病をかかりつけの先生に診ていただいている方も多いと思います。
そのような中で今あらためて、かかりつけ医についてお話するのにはいくつか理由があります。
日本は今、超が付くほどの高齢化社会を迎えています。そのような中で、生活習慣病はもちろんのこと、がんや認知症といった病気を抱える患者さんの数も増加してきています。
がんについてですが、皆さんご存じのように、がんは日本人の死因の第1位になっています。その中で本県は全国的に見ても、がんによる死亡率が高い県になっています。さらに言うと、がん検診の受診率が他の都道府県より低い県となっています。これは非常に残念なことだと思います。
さまざまな病気についても言えることですが、がんも早期発見、早期治療が非常に大事です。検査を受けられるのに抵抗があったり、怖いと思われる方が多いでしょうが、かかりつけ医であれば気軽に相談できると思います。最近ではがん検診を行うクリニックや病院も増えてきています。皆さん、ぜひ、がん検診を受けましょう。
また、生活習慣病やがん、認知症の治療に関して、大学病院や専門病院だけでなく、地域の医療機関やかかりつけ医の役割を重要視し、円滑に治療を行うシステムの構築を国が政策として進めています。
そのシステムの中で治療の中心となっているのは、かかりつけ医です。大学病院や専門病院で治療ができないということではありません。日常の治療はかかりつけ医が行い、生活のことなどに関しては地域包括センターが相談に乗り、病気が悪くなったり、困ったりしたことがあれば大学病院や専門病院に連絡、相談、紹介するという仕組みです。さまざまな職種、病院が連携を図り治療を行っていくシステムです。
このように患者さんの生活の援助や治療を、かかりつけ医や地域の医療機関が中心となって行っていくという流れにあるのです。
近年、在宅医療が注目されています。今まではがんの末期の方や認知症状が強い高齢の方々は大学病院や専門病院、施設に入院、入所されることが多かったですが、最近では自宅で過ごす希望がある方にはできるだけ生活しやすいように自宅を整備し、在宅医療を担当する医療スタッフらが定期的に訪問し、診察を行っています。
ここでもかかりつけ医が在宅医療を支える中心となっています。このように、かかりつけ医は皆さんの病気のことで身近な存在となってきています。皆さん、ぜひ、かかりつけ医を持つようにしましょう。
(長崎市宝栄町、田中外科眼科クリニック 院長 田中 研次)
>>健康コラムに戻る
|