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2014年8月18日掲載

「間質性肺炎とは」


 間質性肺炎という病気をご存じでしょうか。語尾に「肺炎」とありますが、通常の細菌による肺炎とは全く異なる病気です。

 肺は体の中に酸素を取り込む働きをしている臓器で、ぶどうの房状につながった空気の入った小さな袋(肺胞)が多数集まって形成されています。そして、その袋の壁の所が「間質」です。間質では酸素と二酸化炭素のガス交換を行っており、肺胞の壁に炎症、線維化を起こすものを総称して間質性肺炎と呼びます。

 肺胞や肺胞に連なる気管支・細気管支が刺激されて、たんを伴わない乾いたせきを生じ、ガス交換を行う膜が破壊・肥厚するため酸素の取り入れが悪くなり、息切れを生じます。

 慢性的に経過した場合は、病状が進行して初めて息切れを自覚し、体の特徴として指先が太鼓のばちのように丸く厚くなってくることもあります。

 原因として、薬剤、カビ、放射線、たばこ、感染症、膠原(こうげん)病・血管炎などの自己免疫性疾患、じん肺、原因不明の特発性などがあります。それぞれの病気で、数日で悪化するものから、数年単位で進行するものもあり、治療により改善するもの、効果のないものとさまざまです。

 病気の診断のためには、医師による診察、胸部エックス線、CTなどの画像検査、血液・呼吸機能や気管支鏡検査などが行われます。さらに必要であれば、肺の一部を検査目的に採取する「肺生検」が行われる場合もあります。

 治療法は原因が明らかであれば、その原因を取り除くことから始めます。薬剤、たばこ、環境(カビ)などは、中止や環境を変えるだけで改善する場合もあります。

 感染症や自己免疫性疾患は原疾患の治療を行います。改善が乏しい場合や原因不明の場合には、ステロイドや免疫抑制剤などが頻繁に使用されます。

 どの程度効果が期待できるかについては、間質性肺炎のタイプによっても異なります。効果的であった場合でも、治療は数年から数十年にわたる場合も多く、副作用や合併症の管理も必要となります。

 合併症としては糖尿病、肺がん、感染症、気胸、肺高血圧などがあり、定期的な経過観察が必要です。また、症例によっては肺移植の適応となるものもあり、時期を逸しないことが大切です。

 その他、酸素吸入を行う在宅酸素療法や呼吸リハビリなど、薬剤を使用しない方法を選択することもあります。せきや呼吸困難が気になる方は、病院で診察を受けてください。

 間質性肺炎とひとくくりにされますが、原因、検査結果、進行具合によりさまざまな病名がつき、治療方法も異なります。当院の呼吸器内科の入院患者さんで見れば、間質性肺炎は1割にも満たないまれな疾患ですが、そのタイプや進行具合などから薬や在宅酸素療法の必要性などを判断することが求められます。

(長崎市新地町、長崎みなとメディカルセンター市民病院呼吸器内科 医長  吉岡 寿麻子)

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