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2015年4月20日掲載

「いぼ」の話

 一般的に「いぼ」というと指先や足の裏などにできる硬いものをイメージすると思いますが、いろいろな種類があります。原因としてはウイルス性のものと老化現象に伴うものに大別されます。

 【ウイルスによるいぼ】
 ▽ウイルス性疣贅(ゆうぜい)−ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)によるもの
 感染経路はヒトからヒトによる直接感染、器具などを介した間接的な感染、かく行為による自家接種があります。通常、HPVは健常な皮膚に感染することはなく、微小な傷から入り込んで感染します。HPVは現在100種類以上が知られており、タイプにより違った皮膚症状を来します。

 (1)尋常性疣贅
 手・足・四肢などどこにでもできるいぼです。初めは小さく、軽い痛みを感じる程度。放置すると増殖して大きくなり、治療に時間がかかります。

 (2)ミルメシア
 手掌・足底にできるいぼでドーム状に隆起することがあり、圧痛を伴います。

 (3)青年性扁平(へんぺい)疣贅
 顔面に多発する、淡い褐色の扁平ないぼです。気になって触る、毛ぞりなどの刺激で拡大・増数します。漢方薬のヨクイニンを内服することで消退することが多い。

 (4)尖圭(せんけい)コンジローマ
 性感染症の一つで陰部にできるいぼです。罹患(りかん)している人と性行為をすることで感染します。以前は電気焼灼(しょうしゃく)治療を行っていましたが、最近は軟膏(なんこう)治療で治す方法もあります。

 (5)ボーエン様丘疹(きゅうしん)症
 陰部にできるいぼの中で、扁平に隆起する黒色調の丘疹(直径1センチ以下の発疹)で、尖圭コンジロームの特殊型といわれています。原因ウイルスはHPV16といわれており、これは子宮頸(けい)がんの原因ウイルスでもあり注意が必要です。

 ▽伝染性軟属腫
 俗に言う「みずいぼ」です。小さいお子さんに発症するやや白色のぶつぶつした丘疹です。プールや水浴びなどで感染することが多いといわれています。治療はピンセットで内容物をつまみ出すのが最も確実な治療法ですが、痛みを伴うため、数が増える前に皮膚科受診をお勧めします。麻酔のテープを貼る方法や痛みの少ない治療法もありますので、お子さんに応じた治療法を選択されるとよいでしょう。

 【老化によるいぼ】
 ▽老人性疣贅
 脂漏性角化症ともいわれ、中年期以降の成人の顔面・体幹などに生じる自覚症状を伴わない茶褐色の腫瘤(しゅりゅう)です。表面はやや凹凸があります。悪性化することはありませんが、かゆみを伴う、邪魔になる、整容的に気になるという場合は治療します。

 子どもさんの足の裏に「うおのめ」ができたと言って来院され、実際は「いぼ」のケースも多くみられます。「老化によるいぼかな」と思い放置していたところ、がんだったという例もあります。診断がはっきりしないときは皮膚科で相談をされるとよいでしょう。

(諫早市永昌町、にしむらクリニック 副院長  西村 香織)

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