>>健康コラムに戻る

2015年9月21日掲載

「骨粗しょう症」

  (1)あなたも骨粗しょう症かも? 骨粗しょう症になりやすい人とは
 骨粗しょう症は、骨が弱くなって骨折を起こしやすくなる病気です。骨折するまで症状がなく、見つけにくいことがこの病気の問題点です。

 骨粗しょう症であるか否かを知るための三つの方法を紹介いたします。

 一つ目は身長の低下です。骨粗しょう症が進むと背骨の高さが徐々に縮み、背中が曲がり身長が低くなります。そのような方は、自分は骨粗しょう症かもしれないと疑った方がいいかもしれません。

 二つ目は体重の低下です。一般的に体重が軽い方は骨の量も少なく、骨粗しょう症を起こしやすいです。

 三つ目は持病です。腎臓の病気を長くされてる方は骨が弱くなっていることが多いです。脳卒中などでまひを起こしている患者さんも骨の強度が弱くなっています。種々の病気で体が弱り、家の中だけでの生活をしたり、寝たきり生活になっていたりする方もやはり骨が弱くなっています。

 また、治療のためにステロイドという薬を飲まれている方は、著しく骨の量が減っていることが多いです。他には喫煙や過度なアルコール摂取も骨の強度を弱くします。

 (2)一度骨折を起こした人はもう一度骨折する
 骨粗しょう症になると、ささいなことで骨折を起こすことがあります。例えば転んで手をついて、手首の骨、橈骨(とうこつ)が折れることがあります。尻もちをついて、背骨の骨(椎体)がつぶれることがあります。最も怖い骨折は、太ももの付け根の骨(大腿骨近位部)の骨折で、手術が必要となります。

 これらの骨折を起こした人は骨折した場所だけでなく、他の場所の骨も弱いわけです。しかも骨折して体が弱り、さらに転びやすくなっていますので、再び骨折する確率が非常に高いです。一度骨折したら、しっかりリハビリをして筋力をつけ転びにくくすることと、骨粗しょう症の治療を行うことが大事です。

 (3)年を取ったので仕方がない? 骨粗しょう症は治せる病気です
 年を取ったら骨粗しょう症になる。これは避けがたい、仕方がないと思っている方も多いと思います。

 しかし、骨粗しょう症の治療薬はこの10年で劇的に変化しています。治療には時間がかかることが多いですが、しっかりした治療を5年間ほど頑張って継続すれば多くの人で効果が出ます。

 骨密度検査では若いころの骨の量を100%として、70%を下回ると骨粗しょう症と診断されます。65%まで低下した人が
治療を続けて75%まで上げ、骨粗しょう症から離脱した人も実際にいます。

 骨粗しょう症によって3回も4回も繰り返す骨折は、その人の人生をつらいものに変えてしまいます。整形外科医は現在、この問題に必死に取り組んでいます。「私も骨粗しょう症かも」と思った方、骨折を起こしたけれども骨粗しょう症の治療をされていない方はぜひ、近くの整形外科医院に相談してみてください。

(長崎大学病院整形外科再骨折予防外来 助教  千葉  恒)

>>健康コラムに戻る