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2015年10月19日掲載

「ニキビは病気」

 ニキビは誰もが経験するよくある身近な皮膚の病気です。以前は医療機関で治療するという概念はあまりなかったと思いますが、ニキビも立派な皮膚科の病気です。毛穴の炎症が慢性的に繰り返されると、毛穴が壊されて瘢痕(はんこん、傷痕)になることもあります。現在の医学ではその瘢痕を完全になくすことは困難です。そのため早い時期に治療することが大切です。

 そもそも、ニキビがどうしてできるのか、皆さんはご存知でしょうか。

 まず毛穴の出口の角質が厚くなり、毛穴がふさがることがニキビの始まりです。毛穴がふさがると毛穴の中に皮脂が詰まり、触るとザラザラした「面ぽう」という状態になります。ふさがれた毛穴の中で、もともとそこに住んでいたニキビ菌が異常に繁殖して炎症を起こし、赤く腫れたニキビになるのです。

 最近は保険適応の治療薬が複数発売され、ニキビ治療にもバリエーションが増えました。代表的な方法を紹介します。

 (1)アダパレン
 アダパレンはビタミンAの誘導体で、毛穴の詰まりを取る働きがある外用薬です。妊娠中、授乳中の方は使用できないという制限がありますが、有効性が高く、ニキビ治療の第1選択薬になっています。

 ただし、使用開始後2週間ほどの間に皮膚が赤くなったり、乾燥したり、はがれたりする副反応が高頻度で出現するため、医師の注意をよく守って使用しましょう。肌が慣れるとそういった症状は次第になくなります。

 (2)過酸化ベンゾイル
 過酸化ベンゾイルは今年発売になった新しい外用治療薬です。アメリカやヨーロッパではニキビ用化粧品に入っていることもある成分ですが、日本では医薬品として今年4月から処方できるようになりました。この薬も毛穴の詰まりを取る働きに優れていますが、さらに殺菌作用もあって、ニキビ菌の繁殖を抑える働きも持っています。

 ただし、これも使用開始後皮膚か赤くなったり、乾燥したり、はがれたりする副反応が出現する頻度が高いお薬です。また、漂白作用があるため、色の濃い衣類や寝具は脱色されてしまうことがあります。

 (3)抗生物質
 ニキビ菌の繁殖を抑える抗生物質の外用剤は赤く腫れたニキビに有効です。クリンダマイシン、ナジフロキサシンなどが代表的です。外用剤で効果に乏しい場合は内服薬を処方する場合もあります。前述の過酸化ベンゾイルと抗生物質クリンダマイシンの合剤が今年7月に発売になりました。急性期の炎症性ニキビを早く抑えるのに効果があります。

 (4)その他
 体質に合わせて漢方薬を併用する場合もあります。保険適応外の治療には、ケミカルピーリング、トレチノイン外用、イオン導入、光治療、レーザーなどの機器を使用するものもあります。

 ニキビといっても肌質や症状はさまざまです。化粧品やスキンケア、食事、睡眠などの生活習慣で増悪している例もあります。ニキビでお悩みの方はぜひお早めに皮膚科専門医に相談されることをお勧めします。

(島原市新田、前田医院皮膚科 医師 大仁田 亜紀)

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