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2016年2月1日掲載

「生理痛 軽くしてみませんか」

 月経に関しての不快な体、心の症状を持つ女性は70%以上に上るといわれています。いわゆる生理痛をはじめとした身体の病的症状である「月経困難症」、経血の量が多い「過多月経」、月経前から身体的、精神的な症状を伴う「月経前症候群」など、いずれも女性のQuality of life(QOL、生活の質)を損なうものです。

 産婦人科を受診された場合、以下のような診察手順を経て治療を開始します。

 問診=その症状が本当に月経と関連して起こるのかを確認します。場合によっては比較的長い期間、日記をつけてもらうこともあります。月経以外に同じ症状が起こらないのか、排尿、排便、性交渉といった事柄との関連を尋ねます。

 婦人科診察=子宮、卵巣に大きな異常がないかを診察します。例を挙げると、大きな子宮筋腫が存在する場合には月経痛や過多月経を伴うことがあり、その際にはそちらの治療を優先させます。異常が疑われる場合は超音波検査、磁気共鳴画像装置(MRI)検査などを行うこともあります。

 さて、治療は個々人で異なりますが、これらの病態に共通していえるのは、低用量ピル(LEP)が有効である可能性が高いということです。

 古くから経口避妊薬として使われてきた低用量ピルですが、月経量を減らし、月経痛を軽減させる効果があることは以前からよく知られていました。近年、月経困難症に対する低用量ピルが保険適用となったことを受け、日本でも使用件数が増加しています。(1月現在、低用量ピルは月経前緊張症や過多月経に対しては保険適用になっていない)

 ただ、妊娠の希望がある方には使用できませんし、合併症、生活習慣などにより使用できない方もいらっしゃいます。副作用の点から希望されない方もおり、万人にお勧めする治療ではありません。それでも有効率は高く(月経困難症では80%以上に有効とされる)、長期に服用される方もいらっしゃいます。月経で悩まれている方は一度、産婦人科を受診されてみてはいかがでしょうか。

 また、過多月経に関しては子宮内にホルモンをゆっくりと放出する器具を挿入し、経血量を減らす装置が現在使われています。内服の手間や合併症を気にせずにすみ、装置の交換も数年に一度です。患者さんによってはこちらをお勧めすることもあります。

 「鎮痛剤が効かなくなった」「生理痛のため仕事に行けない」「経血の量が多すぎて外出もままならない」といった声を外来の患者さんからよくお聞きします。放置していても良くはなりません。近年では、初経間もないころから適切な治療をすることで、症状の悪化を防ぐことができるともいわれています。早めの対応が大切です。

 ご自身や娘さんの月経トラブルで悩んでおられる方は一人で悩まず、ぜひ、お気軽に産婦人科に相談してください。

今村病院 医師(長崎市大浦町)  今村 健仁

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