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2016年3月7日掲載

「B型、C型肝炎の医療費助成」

 現在、わが国ではB型肝炎が110万〜140万人、C型肝炎が190万〜230万人存在すると推定されています。肝炎ウイルスに感染しても自覚症状がない場合もありますが、適切な治療をせずに放置すると、肝硬変や肝がんに進行する可能性があります。

 B型肝炎では年齢、肝炎の状態によりインターフェロン治療、ウイルスを抑える内服薬治療(核酸アナログ製剤治療)が適応となります。核酸アナログ製剤治療を長期継続すると、肝硬変の病状の進展を抑えたり、発がんを抑えられることが分かってきました。

 C型肝炎では、インターフェロンを用いない経口薬による治療(インターフェロンフリー治療)が次々に登場しています。有効性が高い一方、副作用は軽度で、「C型肝炎治療新時代の到来」といわれています。

 しかしながら、インターフェロン治療、核酸アナログ製剤治療、インターフェロンフリー治療は、その治療費が高額となることが問題の一つです。そこで都道府県の肝炎医療費助成制度を利用すれば、患者さんの金銭面の負担はかなり減りますので、治療が受けやすくなります。

 現在、助成の対象となるのは(1)C型ウイルス肝炎の根治を目的として行うインターフェロン治療およびインターフェロンフリー治療(2)B型ウイルス性肝炎に対して行われるインターフェロン治療および核酸アナログ製剤治療−です。これらの治療のためにかかる検査費用やお薬費用に対して助成されます。

 具体的な金額としては、患者さんの世帯の市町村民課税年額に応じ、原則月の支払いが1万円(世帯所得の多い方は2万円)を超える医療費が助成対象となります。すなわち自己負担が月1万円もしくは2万円で、高額な肝炎の治療を受けられることになります。

 助成の申請手順の概略を説明します。

 助成希望者はまず県が指定する肝炎専門医療機関で診断書を作成してもらいます。診断書などの必要書類をそろえて、住所地を管轄する県保健所(長崎、佐世保両市は県医療政策課)に提出すると、県の肝炎治療認定審査会で審査され、助成が適切かどうか判定されます。治療内容などについて主治医に確認が必要な場合もあり、決定まで1〜2カ月必要です。

 助成期間は原則として交付申請書を受理した月の初日から1年以内で、治療期間に即した期間となります。そのため、新たに治療を予定されている方は、肝疾患専門医療機関、かかりつけ医らと、治療をいつから開始するのか十分に相談した上で、申請されるようにお勧めします。なお、B型肝炎に対する核酸アナログ製剤治療については更新申請ができます。

 不明な点につきましては、所轄の保健所、もしくは県医療政策課(電095・824・1111)へお問い合わせください。また、県医療政策課のホームページにも「肝炎治療に係る医療費助成について」のタイトルで概要が説明されていますので、ご参照ください。

日赤長崎原爆病院内視鏡診療部長(長崎市茂里町) 重野賢也

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