2016年4月4日掲載
「アレルギー性結膜炎について」
春はアレルギーがよく見られる季節ですが、対策はお済みですか。アレルギー性結膜疾患は「T型アレルギーが関与する結膜の炎症性疾患で、何らかの自他覚症状を伴うもの」と定義され、「アレルギー性結膜炎」「アトピー性角結膜炎」「春季カタル」「巨大乳頭結膜炎」の四つのタイプに分類されます。今回はアレルギー性結膜炎について説明します。
アレルギー性結膜炎は特定の季節にのみ症状が現れる「季節性アレルギー性結膜炎」と、年中見られる「通年性アレルギー性結膜炎」に分けられます。いずれも自覚症状はかゆみ、充血が一般的で、異物感があったり、目やにや涙が出たり、熱感を感じたりすることもよくあります。
医師らによる客観的な他覚所見としては、結膜(白目)の充血、浮腫(むくみ)が主です。まぶたの腫れや隆起、ブツブツ、角膜(黒目)輪部の隆起や腫れが生じるほか、重症化すると角膜上皮の一部がはがれたり、潰瘍が形成されたりします。
アレルギーを引き起こす原因としては季節性ではスギ花粉(1〜5月)ヒノキ花粉(3〜5月)カモガヤ花粉(5〜7月)ブタクサ花粉(8〜10月)シラカンバ(3〜6月)が考えられます。通年性ではハウスダストや動物の毛、コンタクトレンズの汚れなどが代表的です。
これらの原因物質が目に入るとアレルギー反応が起こり、肥満細胞からヒスタミンなどが放出されます。それらが目の神経や血管などに作用してかゆみ、充血を引き起こすのです。
眼科での治療は薬物療法が基本です。かゆみを抑えるために抗アレルギー点眼薬(メディエーター遊離抑制薬、ヒスタミンH1受容体拮抗=きっこう=薬)が処方され、症状が強いときはステロイド(副腎皮質ホルモン)点眼薬や免疫抑制剤の点眼薬を追加します。
点眼薬は早めに使用すると効果的とされます。花粉症の場合、花粉が飛散されると予想される時期の2週間前から抗アレルギー点眼薬による治療を始めると、症状が軽く済むこともあります。
そして、大切なのは症状が治まっても勝手に自己判断して中止しないことです。抗アレルギー点眼薬は副作用は少ない一方、ステロイド点眼薬は副作用が強く出る場合があるので医師の指示通りに点眼してください。
生活上の対策としては、花粉症の場合は外出時に眼鏡、マスク、帽子を着用します。帰宅時には衣類や毛髪に付着した花粉を払い落とすほか、▽手洗い、うがい、洗顔を行う▽屋外に干していた洗濯物、布団は花粉を払い落としてから取り込む−ことなどがあります。
次にハウスダストの場合は ▽掃除機で小まめに掃除をする ▽ほこりがたまりやすい場所はぬれぞうきんなどで拭く ▽畳やじゅうたんはダニが繁殖しやすいため、床をフローリングにする
▽布団は天日干しをする−といったことが効果的です。
アレルギー性結膜炎は直ちに重篤な結果をもたらすような疾患ではありません。しかし、快適な日常生活を過ごすためには十分な対策が必要です。
(新上五島町有川郷)戸田眼科医院 院長 戸田 俊一郎
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