>>健康コラムに戻る

2016年10月17日掲載

「11月12日は『皮膚の日』」

 私たちが普段何げなく目にしている皮膚は、体の水分が蒸発してしまうのを防いだり、体温を調節したりしています。外界に存在する微生物などが体内に入るのを防ぎます。触覚などの感覚器としての役割もあり、生命を維持するために非常に重要な役割を担っています。

 この身近で大切な皮膚についてもっと知ってもらいたいと、日本臨床皮膚科医会は1989年、「いいひふ」にちなんで11月12日を「皮膚の日」に制定しました。日本皮膚科学会の協力のもと、全国各地で市民公開講座や勉強会、相談会を開催しています。長崎県でも、毎年この時期に市民公開講座を開いています。今年のテーマは、乾癬(かんせん)です。

 乾癬はあまり聞き慣れない病気かもしれませんが、日本では千人に1人、約10万人以上の患者さんがいるといわれています。海外では人口の1〜3%(100人に2〜3人)の患者さんがいるといわれ、決して珍しい病気ではありません。

 正常の皮膚は約1カ月で入れ替わりますが、乾癬は3〜5日で入れ替えが完了し、正常の10倍以上も早くなってしまう病気です。次から次と皮膚が作られるために赤く盛り上がり、鱗屑(りんせつ)と呼ばれるカサブタのようなものが付きます。頭皮や髪の生え際に乾癬の症状が出ると、鱗屑がまるでフケのようにも見えることがあります。

 見た目や、ポロポロとフケのように落ちる鱗屑、そして乾癬という病名が「感染」と同じ響きであることから、「うつるのでは」といった誤解や偏見を受けやすくなります。乾癬患者さんは人目に付く温泉やプールに消極的になるなど、日常生活や社会生活に影響を受け、つらい思いをする人もいます。しかし乾癬は、決して人にうつることのない病気です。

 乾癬が発症する原因はいまだ完全には解明されていませんが、病原菌などから体を守る免疫が過剰に働くことで起こることが、最近の研究で分かってきています。その免疫機能を調整する治療法も開発され、従来の治療法では十分な効果を得られなかった患者さんにも効果が得られると期待されています。

 今年の皮膚の日、11月12日は長崎市で市民公開講座を開きます。日野皮フ科医院(福岡県福津市)院長、日野亮介先生が「乾癬は感染せんバイ!」と題して講演。札幌皮膚科クリニック(北海道札幌市)副院長、安部正敏先生が「アナタに伝えたい…乾癬にまつわる都市伝説!」をテーマに話す予定です。ぜひ会場に足をお運びください。

  ◆乾癬:疾患と治療に関する市民公開講座 11月12日午後3時半、長崎市栄町の市医師会館。
   はがきに住所、氏名(ふりがな)、生年月日、性別、電話番号、参加人数、医師への質問を明記。
   〒104−0061、東京都中央区銀座4の14の15の904、サンケイリビングイベント事務局
   「かんせんセミナー長崎」係(0120・000・496)。10月30日必着。

 (西彼長与町斉藤郷)まつなが皮ふ科院長 松永義孝

>>健康コラムに戻る