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2017年2月20日掲載

「スギ花粉症舌下免疫療法」

 花粉症のつらい症状にお悩みの人も多いと思います。近年注目されるスギ花粉症の舌下免疫療法について紹介します。舌下免疫療法は症状の程度にかかわらずスギ花粉症に悩む人皆さんにお勧めです。12歳以上が治療対象になります。

 従来の抗アレルギー剤が症状を抑えるのに対して、免疫療法はアレルギーの原因物質を体内に取り入れ、体質改善を行う唯一の根治的な治療になります。

 2014年にスギ花粉のエキス「シダトレン」が発売されました。シダトレンを舌の下から体に取り込んで、体をスギ花粉に慣れさせるのが舌下免疫療法です。自宅で行えます。

 治療の特徴は、簡単ですが根気がいることです。体質改善に3〜4年かかり、少なくとも2〜3年は毎日舌下投与が必要です。気が遠くなりますが、中には2〜3カ月治療を継続すれば効果が表れる人もいます。

 秋ごろまでに治療を開始すれば翌年の花粉症は軽くてすむ可能性が十分あります。ちなみに花粉シーズンが始まってからでは、シダトレンによるアレルギー反応が強く出ます。症状が悪化し逆効果となるので、治療に入ることができません。また症状が強いときには舌下免疫療法を行いながら抗アレルギー剤を併用することもあります。数年続ければ治療を終了した後も効果は持続すると考えられています。

 しかし全員に効くわけではなく治療効果は80%の人に限られます。残念ながら治療前から効果の予測は不可能です。この点が最大の問題点かもしれません。

 副作用に関しては、アナフィラキシーのような致命的なアレルギー反応を起こす可能性を否定できませんが、今のところ重篤な副作用の報告はありません。口の中がかゆくなる、腫れるといった副作用が出ることはありますが軽いものがほとんどです。

 治療開始後の数回は1〜2週間ごとに来院していただき、その後は月に1回の通院が必要です。気になる治療費ですが、薬剤費は3割負担の方で1カ月千円程度です。治療開始前は初診料や検査料などで5千円ほどかかります。従来の抗アレルギー剤と比較してもそれほど高い治療ではありません。

 舌下免疫療法は面倒くさそうですが、歯磨きのような習慣にしてしまえば継続できます。根治を目指す治療を希望する人はぜひご検討ください。さらに詳しく知りたい方はいしまる耳鼻咽喉科や鳥居薬品のホームページをご覧ください(ダニ舌下免疫療法についても説明しています)


 「耳の日」公開講座
来月5日、長崎で

 日本耳鼻咽喉科学会長崎県地方部会と県耳鼻咽喉科医会は3月5日午後1時〜4時、長崎市築町のメルカつきまちで「耳の日」公開講座&相談会を開きます。
 「人工中耳って何でしょう?」「みみなりが治る?!〜補聴器・人工内耳・耳鳴医療の進歩」「難聴は高齢者に何をもたらすか?」の三つのテーマで講演があります。参加は無料。
 問い合わせは 長崎大学耳鼻咽喉科(電話:095-819-7349)。

(長崎市文教町)いしまる耳鼻咽喉科 院長  石丸 幸太朗

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