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2017年6月5日掲載

「脳と体の健康月経の異常あれこれ」

 
 脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血は脳の血管の病気です。血管が詰まって手足のまひや言葉の障害が出るのが脳梗塞です。血管が破れて脳の中に出血を起こし、同様の症状や頭痛が出るのが脳出血です。血管にできたコブが破れて脳の表面に出血を来すのがクモ膜下出血です。

 いずれも突然に起こることが多く、元気だった人が急に悪くなるのが特徴です。頭部MRI(磁気共鳴画像装置)、CT(コンピューター断層撮影)などの検査で早期に診断することができます。

 脳梗塞の予防には、糖尿病や高コレステロール血症、心房細動という不整脈の治療が大事です。脳出血の予防には血圧の管理、クモ膜下出血の予防には定期的な脳のMRA(磁気共鳴血管造影)検査と血圧管理がとても大切になります。

 喫煙はしないようにして、飲酒は控えめにしましょう。多くても1日3杯までが目安です。できれば週に2〜3日は飲まない日を設ければなお良いです。

 高齢化に伴い認知症も増えています。認知症は身の回りの清潔が保てなくなったり、計算など今までできていたことができなくなったり、人との会話がかみ合わなくなったりするような症状で始まることもあります。

 作る料理のメニューが減り、味付けがおかしくなることもあります。仕事をしなくなって1、2年で急に増悪したりします。また突然1人暮らしになった直後にもよく見受けられます。症状と物忘れの検査、頭部MRIなどを用いて診断します。

 ご家族からみた症状も非常に重要です。一緒に来院され、状態を説明していただけると診断の参考となることが多いです。診断がつくと早めの投薬で症状が改善する人も多くいます。

 脳卒中、認知症のどちらの予防にも大事なことがあります。それは脳の血管の柔らかさを保つことです。心臓が筋肉でできていることはみなさんご存じだと思いますが、心臓からつながる血管にもまた筋肉があり、心臓と同じように収縮したり弛緩(しかん)したり運動をしています。

 血液の循環は、心臓だけでなく血管の動きにも助けられて全身を回っているのです。血管が硬くなってくると動きが悪くなり、その分心臓に負担がかかります。血管を柔らかく保つためには血管とその周囲の筋肉をしっかり動かすことが重要です。

 そのためには、何歳になってもできる運動を継続することが必要となります。汗が出る程度、例えば長崎市なら稲佐山に歩いて登る程度の運動を、毎日続けるように努めてください。自転車に乗ると長時間、楽に運動できます。高齢になってもできる水泳は、かなり有効な手段です。温水プールなら、冬や天気の悪い日でもできます。

 1日30〜60分の運動を心掛けてください。毎日続けるつもりでも、実際には月のうち半分できれば上出来です。しかし最初から2日おきの予定では、いつの間にか理由をつけてしなくなります。毎日するつもりくらいがちょうど良いと思います。

(長崎市築町)サイノオ脳神経外科院長  道祖尾 伯史

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