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2017年9月4日掲載

「運動器症候群(ロコモ)」

 「メタボ」は皆さんご存じだと思いますが「ロコモ」って何だろうと思う人もまだ多いのではないでしょうか。昨年の調査では、本県のロコモ認知度は48・5%(厚労省の目標80%)で、九州の中では下から3番目という結果でした。

 ロコモとは「ロコモティブシンドローム」の略称で「運動器症候群」のことです。筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器のいずれか、あるいは複数に障害が起こり、立つ、歩くといった移動機能が低下している状態をいいます。進行すると日常生活に支障を来し、介護が必要になるリスクが高くなります。

 健康に問題なく健やかに日常生活を送ることができる期間を「健康寿命」といいます。平均寿命と健康寿命の差が大きいほど介護を要したり、入院生活を送る期間が長くなったりします。

 2013年度では平均寿命と健康寿命の差が男性で9・02年、女性で12・4年ありました。ロコモは50歳以降、急激に増えます。健康寿命を平均寿命に近づけるためにはロコモを正しく知り、その対策を取ることが大切です。

 対策は運動習慣を付けること、適切な栄養を摂取すること、運動器の病気に気を付けることです。栄養については、太り過ぎも良くありませんが、小食による低栄養も筋肉や骨が弱ってしまい問題です。

 ロコモ予防に効果的な運動は次の通りです。

 (1)散歩 15〜20分間、少し汗ばむ程度の速さでまず2週間続けてみてください。慣れたら時間を増やすなど自分のペースで続けましょう。

 (2)ラジオ体操 関節の曲げ伸ばしなど、普段は使わない部分を動かす全身運動で、深呼吸やバランス訓練にもなります。

 (3)家庭でも簡単にできるロコモーショントレーニング(ロコトレ)=スクワット・片脚立ち 転倒しないように、必ずつかまるものがある場所で行いましょう。スクワットは5〜6回を1日3回が目安で、足の筋力を効果的に鍛えます。片脚立ちの目安は左右1分ずつを1日3回です。転倒を約3分の2に減らしたというデータがあります。

 (4)日常生活の中で意識してこまめに動く。

 心配な人は次の「ロコチェック」7項目を活用してください。
 (1)片脚立ちで靴下がはけない。
 (2)家の中でつまずいたり滑ったりする。
 (3)階段を上るのに手すりが必要。
 (4)掃除機がけ、布団の上げ下ろしなどやや重い家事が困難。
 (5)2キロ程度の買い物をして持ち帰るのが困難。
 (6)15分ぐらい続けて歩くことができない。
 (7)横断歩道を青信号で渡りきれない−。
 いかがですか。一つでも該当項目がある人は、ロコモのリスクが高いといえます。

 10月8日は「骨と関節の日」です。ロコモに限らず体の動きや運動器のことで心配な人、相談のある人は、この機会に近くの「整形外科」への受診をお勧めします。

(大村市小路口町)川田整形外科院長  川田 英人

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