>>健康コラムに戻る

2017年10月2日掲載

「結膜炎」

 目が赤くなり眼科に行ったら結膜炎と言われた。皆さんならこんなとき、どう思いますか。「結膜炎って何?」「えっ、うつるんですか」「私、目は触っとらんよ」などと思うでしょうか。

 診断を受けた患者さんの反応はさまざまです。結膜とは白目の表面とまぶたの裏のことです。結膜炎は結膜が赤くなり、腫れて過敏になっている状態(炎症)の総称です。症状は充血、目やに、ごろつき、かゆみ、痛み、涙などで、原因によって変わります。

 結膜炎を起こす原因はたくさんあります。代表的なものを挙げてみましょう。

 (1)細菌性 私たちの結膜やまつげの根元、皮膚には常に多くの細菌が存在しています。普通はこれらの細菌による症状は出ませんが、環境や体調の変化、老化などが結膜炎発症のきっかけになります。風邪の症状として出ることもあり、清潔に保つ必要があります。多くの場合、色のついた目やにが出ます。菌の種類によっては抗菌の点眼が有効です。

 (2)ウイルス性 結膜炎を起こすウイルスは、細菌のように目や皮膚の表面に常在していません。俗にいう「はやり目」や「プール熱」はアデノウイルスが原因で起こる結膜炎です。非常に感染しやすく、感染すると学生は出席停止になります。昨年は本県で大流行しました。有効な消毒剤が全ての家庭にあるわけではないので、こまめに手洗いを行い、タオルの共用を避けることが大変重要になります。
 ヘルペスウイルスなど、他のウイルスでも結膜炎は起こりますが、ウイルスには抗菌の点眼は効きません。種類に応じた対応が必要になります。

 (3)アレルギー性 花粉症に代表される季節性のものとダニ、カビ、ハウスダスト、動物などから起こる通年性のものがあります。アレルギーを引き起こす物質が目に入ると症状が出ます。入らないよう、こまめに掃除をするなど工夫が必要です。発症してしまったら、とにかく目をこすらないよう努力し、点眼でかゆみを軽減させます。

 (4)ドライアイ 私たちの目は常に涙で覆われ乾かないようにまばたきをしています。乾燥すると目の表面の粘膜が傷つき、ただれて結膜炎になります。最近ではコンタクトの長時間装用や、パソコンやスマホを見る機会の増加で、まばたきが減ってドライアイになる人が増えています。治療は目の状態を調べ、点眼を頻回に行います。重症化してくると涙道をふさぐプラグによる治療も行われます。

 他にも異物やけがなど結膜炎を起こす原因はありますが、目が赤くなるのは結膜炎だけではありません。ぶどう膜炎といって眼球の内側に病気が起こったときは赤くなりますし、緑内障でも赤くなることがあります。

 このように結膜炎といっても多彩であり、「目が赤い」だけでは考えられる病気の幅が広がります。それらの原因によって治療法も変わります。充血や違和感が数日続いて悪化したときや市販の目薬をさしても改善しない場合は、早めに眼科を受診してください。

(佐世保市竹辺町)あずま眼科医院院長  東 登陽三

>>健康コラムに戻る