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2018年10月1日 掲載

「視力の自己検診法」


 最近ウインクしたこと、ありますか? 日本人はあまり上手にできませんね。

 代わりに手のひらで片方ずつ自分の目を隠してみましょう。これ、日頃簡単にできる自己検診法。いつも両目で見ていると、片方の視力が落ちても意外に分からないものです。「よく見えるから視力は調べんでよか!」とおっしゃる方が渋々左目を隠された途端、「あら見えんばい」。当の本人が驚いています。壁の暦や時計を目標に右目左目と別々に確かめてくださいね。

 もの言わない乳幼児にもこの方法は有効です。機嫌良くテレビを見ている時、お母さんの手のひらで隠します。遊びみたいに「見えるかなぁ〜♪」。右隠してもニコニコしてたのに、左隠すと嫌がる…これ右目が見えてないのかも!?

 もう一つ試してほしいのが…「鏡見ながら朝の歯磨き」。「目の充血いつから?」と尋ねても、「分からん」方が多いです。毎日自分の目を見ながら歯磨きすると、充血などに早く気付けます。

 さて、そんなふうに気を配っていても、進行するまで放置される病気が「緑内障」です。失明原因第1位、40歳以上の20人に1人…結構多いですよ。また、その9割は未発見未治療です。

 緑内障は、(1)眼圧が高く、(2)視神経が傷害され、(3)視野が狭くなる、進行性の疾患です。その多くは全く無自覚性の『原発開放隅角(ぐうかく)緑内障』で、ゆっくり進むために視力や視野の異常に気付きません。

 昔は20mmHg(ミリ水銀柱)を超える高い眼圧が緑内障の特徴とされていましたが、実は眼圧値正常の緑内障のほうが大多数です。つまり“視神経を害する眼圧の値”は、人によって違うのです。いわば“眼圧に強い眼と弱い眼がある”んですね。

 では、自分では気付かない緑内障はどうやって見つかるのでしょう? 目やに、目のごみ、かすむ…患者さんの訴えはさまざまです。でも「緑内障みたい」と言って来る人はいません。

 そこで眼科医は「誰にでも緑内障の可能性がある」と考えて、いつも緑内障を見つけようと躍起になっています。その結果、ありふれた病気で受診された時、たまたま発見されるケースがほとんどなのです。

 緑内障の眼底には特徴的な変化があります。視神経の障害を示す凹みや、一部薄くなった網膜…これがあると、「緑内障疑い」として視野や画像診断の検査へと進みます。時には一目で緑内障と分かる、かなり進行した人もいます。メモライで来て、「緑内障です」って言われたら…ショックですよね。でも「いま見つかって良かった」のです。腫れなかったら、眼科に来なかったら、もっと悪くなるまで分からなかったでしょうから。

 今は良い目薬がたくさんあります。しっかり治療すれば、これ以上進まないようにもできるのです。

 自分の目の少しの異変に気付くこと、そして早めに眼科を受診することが、怖い緑内障の早期発見にもつながるのです。

(長崎市磯道町)まつう眼科医院 院長  松鵜 嘉文、大野 梢

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