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2018年10月15日 掲載

「『かぶれ』について」


 私たちの皮膚は、いろいろな役割を担っています。体の水分が蒸発してしまうのを防いだり、外界からの細菌やウイルスの侵入を阻止する働きを持っていたりと、外部環境からのバリアーとしても重要な意味を持っています。そのため、常にいろいろな化学物質や天然成分に対してさらされており、これらさまざまな物質により皮膚に炎症が起こることがあります。これを「かぶれ」といいます。

 かぶれには、いろいろな種類があります。代表的なものとして、ほぼすべての人に症状がでてしまう刺激性接触皮膚炎や、アレルギー反応が成立した人にのみ症状が出現するアレルギー性接触皮膚炎などがあります。

 刺激性接触皮膚炎は、原因物質自体が持つ刺激の強さによって症状が誘発される反応です。アレルギーとは無関係の反応なので、誰にでも症状が誘発されてしまうのが特徴です。代表的な原因物質として、洗剤の原液やせっけん、強酸性、強アルカリ性化学物質があります。

 アレルギー性接触皮膚炎は、刺激性皮膚炎と異なり漆や(うるし)ニッケルなどの小さい分子の成分が皮膚について皮膚炎を起こします。この皮膚炎が引き起こされるためには、原因物質が皮膚に付着を繰り返している間にアレルギーが成立する必要があります。そのためアレルギーが成立して皮膚炎が引き起こされてしまう人と、アレルギー反応が成立しないため皮膚炎が起こらない人とに分かれます。

 このアレルギー性接触皮膚炎の原因を調べるために最も重要な検査は、パッチテストになります。

 パッチテストは、予想される原因物質を適切な濃度で皮膚に貼り、貼付後48時間、72時間、必要な場合には1週間後にも皮膚の反応が誘発されているかどうかを確認する試験になります。

 皮膚の広範囲にテープを貼る検査になりますので、汗などで蒸れて検査結果を妨げないように、検査中のスポーツや発汗の多い労働は避けてもらう必要があります。そのため、検査は夏以外の季節が望ましいと思われます。

 原因物質として多いものとしては、染毛剤・パーマ液、化粧品、植物に含まれる天然由来の化学物質、アクセサリーや歯科材料の金属、まつげや爪の接着剤として使うアクリル樹脂、ゴム、防腐剤などがあります。ほかにも、医薬品、食物、光線の関与など、思いもかけないもので接触皮膚炎を起こすことがあります。原因が特定されれば、その物質との接触を避ける必要があります。

 今年は11月17日に長崎市で市民公開講座を開きます。東邦大学医療センター大森病院皮膚科教授の関東裕美先生に、日常生活の中で出合うかぶれについてお話ししていただく予定になっています。
 
 ▼皮膚のかぶれに関する市民公開講座 11月17日(土)午後3時から長崎市栄町の長崎市医師会館。入場無料

(長崎市矢上町)おがわ皮ふ科・アレルギー科 院長  小川 文秀

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