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2019年3月18日 掲載

「白内障」

 「白内障」という言葉はテレビや紙面、インターネットなどで、よく目にすることが多いと思います。特に年配の方は「最近ちょっと見えにくく感じるけど、自分も白内障じゃないかしら」と思っている方も、いるのではないでしょうか。白内障の原因と症状、治療についてご説明します。

 人間の目は、よくカメラに例えられることがありますが、カメラのレンズに相当する所を水晶体といいます。水晶体は薄い膜でできた「嚢(のう)」に包まれています。中身はもともと透明な組織で、タンパク質と水分からできています。このタンパク質が、いろいろな原因で変化して濁った状態が白内障です。

 濁る原因として最も多いのは加齢です。もちろん個人差はあるのですが、年を取るにつれて水晶体は濁っていきますので、高齢になればなるほど、多くの方が発症します。ほかの原因としては、全身の疾患に合併して発症するものとして、糖尿病やアトピー性皮膚炎などがあります。

 ほかにも目のけがによる外傷性白内障や、目の中の炎症に併発するものもあります。

 また、最近皆さんもニュースなどで聞いたことがあると思いますが、妊婦が風疹にかかることで胎児が体内で感染し、生まれつき白内障になることがあります(先天性風疹症候群)。薬剤(ステロイド剤)や放射線が原因となることもあります。

 では、その症状は、どういったものでしょうか。主には「目がかすんで見える」「まぶしく感じる」「(二重、三重に)ダブって見える」などがあります。白内障が進む段階で、水晶体の真ん中の「核」が濁るときにレンズ自体の屈折率が強くなり、ピントの位置が近視化することで、一時的に近くが見えやすくなることがあります。ですが、それは白内障が進行している証拠です。また、だんだんとぼやけて、ピントが合わなくなっていきます。

 さて治療はというと、まず日常生活に支障がなければ、点眼薬や内服薬で進行を遅らせたりします。ただし、薬では濁りを取り除いたり、視力を回復させることはできませんので、日常生活に不自由を感じる場合は手術をします。手術では濁った水晶体を超音波で小さく砕いて取り出し、その部位に、代わりとなる人工のレンズ(眼内レンズ)を入れるという手術が主に行われています。

 一般的には、手術後管理を含めて3日間程度の入院をする施設や、患者さんの全身状態や手術後の通院が可能な状況などにより、日帰り手術でする施設もあります。眼内レンズも健康保険の適用となるもの(単焦点レンズ)や、自費診療の対象となるもの(多焦点レンズ)があります。ライフスタイルに合わせて選択することが大事です。

 「白内障の手術をすれば何でも見える!」と思って来院する方もいますが、手術後に眼鏡による補正を必要とする場合もあれば、白内障以外の病気があって手術後の視力が思ったほど出ない場合もあります。まずは主治医の先生とよく相談し、納得の上治療を受けることをお勧めします。

(諌早市福田町)やまもと眼科 院長  山本 広樹

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