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2019年10月7日 掲載

「ドライアイ」

涙の質低下が主な原因

 目が乾燥する、目がゴロゴロする、涙が出る、目が疲れる、目がかゆい、物がかすんで見える−。それぞれ全く違う症状だと考えるかもしれませんが、これらは全て、ドライアイで起こりうる症状です。

 日本では、800万〜2200万人のドライアイ患者がいるといわれています。40歳以上の男性の罹患(りかん)率が約12%なのに対し、女性は約21%と女性に多いことが分かっています。コンタクトレンズ装用やパソコン作業などで発症リスクが高まることが知られており、若年者から高齢者まで、幅広くかかる可能性がある病気といえます。

 ドライアイが疑われる場合、まず黒目(角膜)の傷の有無や、涙が乾燥し始める時間(涙液層破壊時間)などを調べます。以前は涙の量が低下して起こるものだと考えられていましたが、最近の研究では、涙の質が低下して乾燥しやすくなることが一番の原因だと分かってきました。
現在の診断基準は (1)何らかの目の症状があり (2)涙液層破壊時間が5秒以下− となっています。

 あまり知られていないと思いますが、「物がかすんで見える」などの視力低下にも関係があります。

 ドライアイが原因の場合、見ているうちに次第に見えなくなる、まばたきをした瞬間は見える、夕方になると見えにくい−などの、特徴的な症状があります。涙が乾燥すると目の表面での光の屈折が悪くなり、見えにくくなるのです。パソコンやスマートフォンでの作業、読書のときには、まばたきがいつもの4分の1程度に減ることが多く、ドライアイが悪化しやすいです。まばたきを意識することも重要です。

 治療は、まずは点眼治療を行います。点眼薬は数種類ありますが、合う場合と合わない場合があるので経過観察が必要です。涙の量が減っている場合は、涙の出口(涙点)を閉じる処置が有効です。涙点に、シリコンなどの「涙点プラグ」を挿入する手術を行います。

 ドライアイが悪化しにくい環境にすることも大切です。 部屋が乾燥しているときには加湿する、エアコンの風が直撃しないようにする、パソコン画面は、やや見下ろす位置にする−などで、劇的に症状が改善する可能性があります。また、目を温めることが推奨されており、毎日継続することで涙の質が改善することがあります。

 自己検査としては、まばたきをしないで10秒維持できるか試してみてください。正常な人では、1回まばたきをすると涙は10秒以上乾燥しません。よって、10秒間まばたきを我慢できない場合はドライアイの可能性があります。ただし、角膜の知覚低下があると、目が乾いたり角膜に傷が付いたりしていても、気付かないことがあるので、確実ではありません。

 冒頭でも紹介しましたが、ドライアイではさまざまな症状が現れます。目の不快感はストレスの原因にもなりますし、仕事や勉強の効率も低下します。何か目の症状があれば、我慢せずに眼科を受診することをお勧めします。

(長崎市浜町)やまだ眼科クリニック 院長  山田 義久

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