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2020年10月5日 掲載

「目の愛護デー」

「100年健康」目指して

 10月10日は何の日でしょうか。旧体育の日ですが、調べると「釣りの日」「銭湯の日」「totoの日」「トマトの日」「お好み焼きの日」などがあります。「目の愛護デー」もその一つで、1931(昭和6)年に「視力保存デー」と定められたのが始まりのようです。

 今年の日本眼科医会からのポスターには「人生100年、目を大切に。」と掲げられています。これをきっかけに、皆さんも目を大切にすることについて考えてみませんか?

 100歳でもよく見えるためには、将来的に失明する可能性がある病気を知り、対処することが必要です。失明の原因として日本で一番多いのは緑内障です。次いで糖尿病網膜症、加齢黄斑変性になります。

 緑内障は、眼圧(目の中の圧力、つまり目の硬さ)などの原因で視野が欠けてくる進行性の病気です。いったん見えなくなったところは、たとえ手術をしても元には戻りません。早期発見が重要で、通常は目薬で継続的に治療していきます。40歳以上の日本人の20人に1人が緑内障と推定されています。

 糖尿病網膜症は、糖尿病により網膜の血管が弱くなり、眼底出血などを起こす病気です。網膜は目の中に入ってきた光の明暗や色を感知する部分で、物を見るためにとても重要です。初期の段階では、内科などでの血糖コントロールで対応しますが、ある程度進行してしまうと血糖コントロールだけでは改善しないため、眼科での治療(レーザーや注射、時には手術)が必要になります。

 加齢黄斑変性はもともと、日本ではあまりありませんでしたが、食生活の欧米化に伴い近年は急増しています。喫煙もリスク要因です。黄斑という網膜の中心部に出血や腫れを起こすため、視野の中心が見にくくなります。状況に応じてですが、眼内注射などを行うのが一般的です。

 白内障はよく聞く病気かもしれませんが、水晶体という、目の中のレンズが濁ってくる病気です。もともと透明だった所が濁ってくるので、かすむ、見にくい、まぶしいといった症状が出てきます。日本では通常、不自由になれば手術で濁りを取り除きますが、発展途上国では白内障の治療を受けることができない人が大勢います。現在でも、世界では失明の原因として第1位です。

 このようにいくつか挙げましたが、普段から両目で生活していると、片目の視力低下はなかなか自覚しにくいものです。日頃から、片目ずつの見え方を確認することも大事になります。ただ、それでも自覚症状がほとんど出ないものもあります。病気の早期発見、治療をするためにも、この機会に眼科受診をお勧めします。

 昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響から、少なからず行動制限をされていると思いますが、感染にはできるだけ気を付けながら、日常の目の病気にも気を配っていただきたいと思います。皆さんが100年不自由なく健康な目で過ごせるように、気を付けて生活していきましょう。

(西彼長与町)きのした眼科 院長  木下 博文

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