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2020年10月19日 掲載

「にきび」

医療機関で治療可能

 皆さんは、医療機関でにきびの治療ができることをご存じですか。

 にきびは、思春期が終わる頃までに90%以上の人が経験する、皮膚の慢性炎症性疾患です。「青春のシンボル」などと言われてきましたが、炎症がひどくなると痕が残ることもあります。最近では治療薬も増え、早い段階から適切な治療を根気よく続けることで、赤いにきびの治療だけでなく、にきびをできにくくすることも可能になりました。

 にきびができる原因には、性ホルモン、皮脂分泌の増加、毛穴の詰まり、「アクネ菌」という皮膚の常在菌の増殖が関係しています。

 性ホルモンの影響で皮脂腺が発達すると、皮脂の分泌が多くなります。毛穴の出口が詰まることで、過剰に分泌され た皮脂が毛穴の中にたまってしまうことから、にきびが出始めます。この状態を「面皰(めんぽう)」と呼び、いわゆる白にきびです。

 面皰の中は酸素が少なく、アクネ菌が発育しやすい環境になっているので、菌はどんどん増えていきます。菌が増え
ると炎症を起こして赤く腫れ上がっていき、赤にきびとなります。

 炎症が強くなると毛穴の壁が壊され、炎症を起こす物質が流れ出ることで周りの皮膚に障害を与えます。皮膚が盛り上がったり凹んだりして、にきび跡を残してしまいます。

 日本皮膚科学会が作成した、にきび治療のガイドラインでは「アダパレン製剤」「過酸化ベンゾイル製剤」という、毛穴の詰まりを改善する塗り薬による治療を推奨しています。また、炎症が強い赤にきびに対しては、のみ薬(抗生物質)と塗り薬による治療を推奨しています。

 アダパレン製剤は、毛穴の詰まりを改善し、面皰(白にきび)ができにくくする薬です。赤にきびにも効果が期待できます。しかし妊娠中、授乳中の方は使用できません。

 過酸化ベンゾイル製剤はアクネ菌が増えるのを抑え、毛穴の詰まりを改善する薬です。白にきび、赤にきびに対する効果が期待できます。

 これらの2剤は外用開始後2週間以内に、皮膚の赤み、ヒリヒリ感、かゆみ、皮がむけるなどの反応を起こします。
薬の使用量を調整したり、保湿剤を併用するなど、適切な指導の下で外用を続けることにより、反応は軽減され、少しずつ落ち着いてきます。

 にきびの症状はさまざまです。特に、思春期を過ぎ大人になってからできる「大人にきび」は、不規則な食生活、寝不足、飲酒や喫煙、ストレス、間違ったスキンケア−など、多様な原因が重なっています。ガイドラインに基づき、それぞれの症状に合わせて、いろいろな治療を組み合わせて行うと同時に、生活習慣やスキンケアの見直しも大切です。

 「そのうち治るから」「治療しても繰り返しできるから」と放っておかずに、一度受診してみませんか。

(長崎市中町)杏クリニック 院長  達木 美保

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