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2021年1月18日 掲載

「新型コロナと“長崎目線”」

県内の感染段階理解を

 新型コロナウイルス感染症の国内感染者数が、増加の一途をたどっています。首都圏で急増がみられる一方で、本県も過去最多を更新し、地方都市でも増えています。

 県医師会は昨年12月24日、県内でクラスター(感染者集団)の発生や新規感染が相次ぎ、県内の医療体制が逼迫(ひっぱく)しているとして、「医療危機的状況宣言」を出しました。県民に向けて、3密の回避、マスク・手洗いの励行、県外への移動の自粛、不要不急の外出の自粛、飲酒を伴う飲食時のマスク会食の徹底を呼び掛けました。

 長崎医療圏(長崎市、西海市、西彼長与町、時津町)では昨年4月、クルーズ船コスタ・アトランチカの乗組員149人が感染しました。長崎大学熱帯医学研究所が新型コロナ検査を短期間で実施し、国、県、市、長崎大学、三菱重工等の協力で、乗り越えることができました。

 長崎市医師会は、市から新型コロナの保健所業務代行と行政検査を委託され、市内に長崎地域コロナウイルス検査センター(ドライブスルー方式)を設置。同医師会と西彼医師会の医師が週4日出動する体制を作りました。同6月中旬に新型コロナ用の宿泊施設を県が確保。同7月には二つのクラスター(感染者集団)が発生しましたが、医療危機を回避することができました。

 その後、クラスターの発生はなく、感染段階がステージ1(散発的な感染)でしたが、年末に感染者が急増。同12月14日にステージ2(感染漸増)、同23日にステージ3(感染拡大)、今年に入り1月6日にステージ4(特別警戒警報発令)となりました。

 全国的にも、同7日に緊急事態宣言が1都3県(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)を対象として出されました。これに伴い、「Go To トラベル」事業の全国一斉停止の措置が2月7日まで延長されることとなりました。

 国内で感染者が多い地域(本県の感染段階でステージ2以上)は、昨年12月10日〜16日の1週間で、北海道、東京都、大阪府、京都府、神奈川、埼玉、千葉、愛知、兵庫、沖縄等に本県が加わり、47都道府県中34都道府県(72・3%)となりました。ステージ2以上の県が増加したことにより、ステージ1の県は、13県(27・7%)から3県(1月10日時点、6・4%)に減少しました。

 長崎市医師会、西彼医師会は、昨年12月の二つの夜の街クラスターや、市中の感染者の急増に対して、感染者、無症状病原体保有者の早期診断、早期隔離のために1日約100〜120人の遺伝子検査検体採取(LAMP、PCR)に協力しています。

 感染者の増加を止めないと感染症指定病院、宿泊施設の受け入れが困難になることが懸念されます。感染者の減少のために、県民の皆さん一人一人が「長崎の新型コロナの感染段階を理解し、長崎の医療を守る」という“長崎目線”で、外出時も家庭でも、マスク会食などの感染対策に日々ご協力いただきますようお願い致します。

長崎市医師会 感染症担当理事  真崎 宏則

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