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2021年2月14日 掲載

「花粉症」

飛散本格化 急ぎ対策を

 今年も花粉症の季節になってきました。既に症状が出始めている方もいらっしゃるかと思います。

 鼻アレルギー診療ガイドラインによりますと、2019年のスギ花粉症の有病率は38・8%と報告され、日本人の4割近くがスギ花粉症ということになります。ちなみに1998年は16・2%、2008年は26・5%でしたので、年々花粉症の患者さんは増加していることが分かります。

 春に飛散するスギおよびヒノキ花粉の数は、前年夏(7月上旬〜8月中旬)の気象条件に大きな影響を受けます。日照時間が多く、気温が高く、降水量が多いと、翌年春の花粉飛散量が多くなる傾向があります。

 NPO法人花粉情報協会のデータによると、長崎市のスギ・ヒノキ花粉総飛散数は過去10年間の平均値が1平方センチメートル当たり年4008個であるのに対し、昨年は同1093個とかなり少なくなりました。症状が軽かった方も多かったのではないでしょうか。今年の予測値も同1378個と少なめに予想されていますが、油断は禁物です。

 花粉症の治療は花粉の除去・回避、薬物治療の二つが柱となります。

 花粉の除去・回避についてはマスク、眼鏡が有効です。昨年からの新型コロナウイルスの流行で、マスクを着ける習慣がついている方が多いと思いますが、花粉症対策にも有効といえるでしょう。

 そのほかにも、花粉が付着しやすい毛織物などの素材の衣服を避ける、晴れた暖かい花粉飛散の多い日はなるべく換気をしない、といった日常生活での工夫も大切になります。

 次に薬物治療です。やはり花粉症の治療の中心は薬物治療になりますが、効果がある薬剤もいろいろな種類があります。内服薬(のみ薬)が中心となりますが、内服薬にもくしゃみ、鼻水によく効くものや、鼻づまりによく効くもの、1日1回服用するタイプ、1日2回服用するタイプなど種類がたくさんあります。ほかには点鼻薬もありますし、最近は湿布のような貼り薬も出てきています。

 また、濃度を薄く調整したスギ花粉のエキス(口の中ですぐ溶ける錠剤)を舌の裏に置く、舌下免疫療法という治療法もあります。この治療法は、アレルギーの原因であるアレルゲン(ダニやハウスダストなど。スギ花粉症の場合はスギ)に体を慣らし、症状をやわらげます。現在の治療法の中では唯一、根本的な体質改善が期待できます。

 最後に治療開始のタイミングについてです。長崎では本格的にスギ花粉の飛散が始まるのが2月初旬です。飛散が始まる4週間前、遅くとも2週間前(くしゃみ、鼻水などの鼻症状が出始める前)から内服や点鼻を開始すれば、症状が出始めても、軽く抑えられる傾向があると報告されています。

 1月中旬からお薬を始めるのが望ましく、まだの方はできるだけ早期の治療開始が望まれます。詳しいことは、かかりつけの耳鼻科でご相談されることをおすすめします。

(西彼長与町)たかの耳鼻咽喉科 院長  高野 篤

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