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2021年4月5日 掲載

「帯状疱疹」

痛み伴う斑点 早期受診を

 みなさん、ヘルペスという言葉を聞いたことがありますか? 一度くらいは耳にされた方も多いかと思います。

 ヘルペスは、ヘルペスウイルスによって引き起こされる病気(感染症)です。ヘルペスウイルスにも、いろいろな種類があります。例えば、口唇ヘルペスの原因となるのが主に「単純ヘルペス1」、陰部ヘルペスの原因となるのが主に「単純ヘルペス2」、水ぼうそうや帯状疱疹(ほうしん)の原因となる「水痘・帯状疱疹ウイルス」などです。その中で、今回は帯状疱疹について紹介したいと思います。

 帯状疱疹は、体の中に潜んでいたヘルペスウイルスの一種である水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こります。子どもの頃に感染した水ぼうそうウイルスが、水ぼうそうが治った後も神経節(神経の根元)に潜伏し、加齢や体が弱った時、疲労などが引き金となり免疫力が低下すると、ウイルスが再び活動を始め発症します。

 水ぼうそうのワクチンを接種して抗体を持っている人も同様に、免疫力が低下した場合、帯状疱疹として発症します。高齢者だけでなく若い人に発症することもあります。

 皮膚の症状は、やや盛り上がった赤い斑点と水ぶくれが主で、顔や体の左右どちらか片側の神経に沿って、帯状に起こるのが特徴です。神経にも炎症が起こるため、同時にピリピリ、ズキズキ、チカチカといった神経痛を伴います。

 皮膚症状より神経痛が先行することもよくあります。そのため、痛くて湿布を貼り、その後にぶつぶつとした赤い発疹が出て、湿布かぶれと思い受診される方もいらっしゃいます。一般的な合併症として、発熱や頭痛がみられることがあります。

 高齢者や、免疫力が低下するような基礎疾患のある方、顔面に生じた場合、痛みがとても強い場合には、後遺症として疼痛(とうつう)(痛み)が残りやすいので、入院して抗ヘルペスウイルス薬の点滴治療を行います。軽症から中等症では、内服の抗ヘルペスウイルス薬や鎮痛薬、外用薬などで治療します。

 抗ヘルペスウイルス薬は、ウイルスが増えるのを抑えることで初期の皮膚症状や痛みなどを和らげ、治るまでの期間を短くします。さらに合併症や後遺症を抑える事も期待されます。

 通常、皮膚症状が治ると痛みも消えますが、その後もピリピリ、ズキズキするような痛みが持続することがあります。「帯状疱疹後神経痛」といって、数カ月から数年痛みに悩まされることがあるので、始めからしっかりと治療することがとても大切です。皮膚症状がひどい人、夜も眠れないほど痛い人、60歳以上の人は帯状疱疹後神経痛が残る可能性が高いため、特に注意が必要です。

 もしかして帯状疱疹かなと思ったら、早めに皮膚科を受診してください。

(諫早市小船越町)岡崎整形外科医院 ひふ科  石丸 志帆子

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