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2022年4月4日 掲載

「コンタクトレンズの歴史」

1970年代から使用本格化

 手コンタクトレンズは硬い素材のハードレンズ、軟らかいソフトレンズの2種類があり、日本では合わせて約1500万人が使用しているとの報告があります。それだけ身近になったコンタクトレンズですが、開発には長い歴史があります。

 コンタクトレンズの原理は、イタリアの有名な科学者レオナルド・ダビンチ(1452〜1519年)が発見したと いわれています。1508年、半球形をしたガラスの容器に水を入れ、眼を開いて水に浸した状態のイラストを用いて、視力を矯正する効果について論じていたそうです。

 ダビンチの発見から約440年後、「PMMA」というアクリル樹脂の素材を用いたハードコンタクトレンズが開発されました。しかし、初期のハードコンタクトレンズは酸素を透過しないため、装用できる時間に限界があったり、角 膜(黒目)に障害が発生したりと、さまざまな問題がありました。

 その後、1970年代に酸素を透過する素材で作られたハードコンタクトレンズが開発され、連続して装用することが可能になりました。 一方、ソフトコンタクトレンズの歴史は60年、チェコスロバキアの研究所が、水を内部に含んだ透明な材質「ハイドロジェル」を使ったコンタクトレンズ製造に関する報告を発表したことから始まります。この技術が65年にアメリ カに渡り、ソフトコンタクトレンズの開発が行われました。71年に初のソフトコンタクトレンズが発売され、その10年後には連続装用も認可されました。

 ソフトコンタクトレンズは材質に水を含んでいるため軟らかく、酸素透過性もあり装用感も良好です。ソフトコンタクトレンズの誕生により、コンタクトレンズ普及率は飛躍的に向上しました。

 しかし、連続使用するタイプはタンパク質の沈着によるアレルギー性結膜炎などのトラブルが起きるため、「トラブルを起こす前に新しいものと取り換える」という考えが生まれます。80年代には1、2週間間隔の頻回交換レンズ、90年代には毎日交換の1日使い捨てレンズが登場しました。今では近視用、遠視用、乱視用、遠近両用、オシャレを意識したカラーコンタクトレンズなど、多種多様です。

 半面、いくら素材などが改良されても、コンタクトレンズによる眼障害は無くなりません。使い捨ての期限を守らず長期使用したり、清潔を怠ったりすると角膜に傷が入り、細菌感染を起こしてしまいます。最悪の場合、角膜混濁を起こして角膜移植が必要になる場合があります。

 また、最近は認可を受けていないカラーコンタクトレンズによる障害が増えてきています。コンタクトレンズは正しく使用すればとても便利な物です。しかし高度管理医療機器であり、適切な使用を守らなければ、取り返しのつかない障害も起こします。安心・安全に使用するために最良のレンズを選択し、定期検査を受けましょう。

(佐世保市白南風町)宇野眼科 院長  宇野 英明

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