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2022年11月7日 掲載

「コロナうつ」

ストレス背景に急増

 「コロナうつ」とは医学的な診断名ではなく、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の影響で精神的にうつ状態になることを指します。

 COVID−19の流行によって、私たちの生活は大きく変化しました。 感染すること(させること)に対する恐怖 感染により家族を失ったり会えなくなったりしたこと これまで当たり前にできていたことができなくなる不自由 さ 収入減や失業−など、さまざまな面でストレスが増大しています。

 こうした背景を受けて人々のメンタルヘルス状態を国内で調査した結果、COVID−19の拡大以前と比べ、うつ病の人の割合が2〜3倍に急増していることが分かりました(経済協力開発機構調べ)。

 うつ病は適切な治療をすればきちんと治り、社会生活への復帰も比較的早期に可能です。全ての病気に共通することですが、早期に発見して治療をすることがとても大切です。

 うつ病の代表的な症状は 何もかもおっくう やる気が出ない 長続きしない すぐ疲れる 興味(関心)が湧かない 楽しめない−などの精神症状です。加えて 眠れない 食欲がない 疲れやすい 頭痛 めまい 動悸(どうき)  胸部圧迫感−などの身体症状も伴います。これらの症状が2週間以上連続したときに、うつ病と診断されます。

 休養と薬物療法が治療の柱になります。この二つをしっかりと行えば、ほとんどの場合は良くなります。しかし、いったん良くなった場合でも、再発する可能性が非常に高い病気ですので、再発予防治療を継続する必要があります。

 また、うつ病になった原因を心の弱さや気の弱さと捉えて、気力で治すとか気分転換をすれば治ると考えてしまうことは、大きな間違いです。責めたり励ましたりするのは禁物です。気分転換といって外に連れ出したりせずに、ゆっくりと休養できる環境をつくることが大切です。

 コロナ禍で先の見えない不安があっても、睡眠や食生活などなどの日常の生活リズムを整えておくことが大切です。
また、可能な範囲でストレスを発散し、ため込み過ぎないことが重要となります。

 ストレスの発散方法としては、家族や友達など親しい人と話をするのが効果的です。直接会うことが難しい場合でも、電話などで連絡を取ってみると良いでしょう。話すことで気持ちがスッキリすることもあります。

 自分でストレス対処法を探して実践することが重要ですが、対処しても気持ちが沈むことが続いたり、不安な気持ちに圧倒されたりしてしまうときは、精神科や心療内科を受診されることをお勧めします。

(長崎市銅座町)医療法人すがさきクリニック 院長  菅ア 弘之

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