トピック:麻しん(ましん、「はしか」)について

このたび、沖縄県での麻しんの流行があり、沖縄県以外でも、麻しん感染者の増加が報告され、注意が必要な状況となっております。
詳しくは、かかりつけ医にご相談いただければ、幸いです。
麻しんに関しまして、基本的な考え方を QA 方式でお示しします。

Q1、麻しんは、一般的には、何とよばれていますか?
A1、「はしか」として知られています。


Q2、麻しんは、どんな病気ですか?
A2、麻しんは、麻しんウイルスという病原体によっておこる感染症で、人から人へ感染します。
感染経路は、発病した方からの空気感染、飛沫感染、接触感染があります。
感染力はきわめて強いので、麻疹の免疫がない集団で1人が発病すると、周囲の12〜14人の人が感染するといわれています。
インフルエンザが1〜2人程度ですので、感染力が強いといえます。

 潜伏期は通常10〜12日間であり、発熱、咳、鼻汁、くしゃみ、結膜充血(目が赤くなる)、眼脂(めやに)などの症状や特有の発疹(小さな赤い斑状の皮疹、網目状の皮疹)状になる)がみられます。
風邪様症状が先行し、2〜3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹がみられたら、麻しんが疑われます。
麻しんでは、肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1,000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。
死亡する割合も、先進国であっても1,000人に1人と言われています。
麻しんの治療では、特効薬がなく、ワクチンによる予防が重要です。
わが国では、2006年4月から、予防接種法に基づく定期予防接種(1期:1歳、2期:小学校就学前)として、麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)が使用されています。
ワクチン接種を希望される場合はかかりつけ医にご相談ください。


Q3、麻しんのわが国での発生状況は?
A3、麻しんは、2007〜2008年に10〜20代を中心に大きな流行がみられましたが、2008年より5年間、中学1年相当、高校3年相当の年代に2回目の麻しんワクチン接種を受ける機会を設けたことなどで、2009年以降10〜20代の患者数は激減しました。
近年では、患者発生の中心は20歳以上の成人と、ワクチン接種前の0〜1歳となっています。

 2015年3月27日、世界保健機関WHO西太平洋地域事務局により、わが国が麻しんの排除状態にあることが認定されました。その後は、海外から発病した方が入国し、国内の感染源となって集団発生していることが報告されています。

 近年は麻しん含有ワクチンの2回接種が行われ、麻しんに感染する方の人数は減っています。


Q4、麻しんワクチンについて
A4、麻しん含有ワクチン(主に接種されているのは、麻しん風しん混合ワクチン)を接種することによって、95%以上の人が麻しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。 また、2回の接種を受けることで1回の接種では免疫が付かなかった方の多くに免疫をつけることができます。 さらに、接種後年数の経過と共に、免疫が低下してきた人に対しては、2回目のワクチンを受けることで免疫を増強させる効果があります。
2006年度から1歳児と小学校入学前1年間の幼児の2回接種制度が始まり、2008年度から2012年度の5年間に限り、中学1年生と高校3年生相当年齢の人に2回目のワクチンが定期接種として導入されていました。

 1回目のワクチン接種後の反応として最も多く見られるのは発熱です。接種後1週間前後に最も頻度が高いですが、接種して2週間以内に発熱を認める人が約13%います。 その他には、接種後1週間前後に発しんを認める人が数%います。
2回目の接種では接種局所の反応が見られる場合がありますが、発熱、発しんの頻度は極めて低いのが現状です。


Q5、麻しんワクチンの供給について
A5、麻しんワクチンは、現在、入手が難しい状況ですので、麻しんワクチンが入手できない場合は、麻しん含有ワクチン(主に接種されているのは、麻しん風しん混合ワクチン、MRワクチン)が接種されています。
供給に問題はありませんが、効率的な流通のために、接種者数に応じた供給(納品)がなされています。
なお、麻しん含有ワクチンは、ニワトリの胚細胞を用いて製造されておりますので、卵そのものを使っておりません。
そのため、卵アレルギーによるアレルギー反応の心配はほとんどないとされていますが、重度のアレルギー(アナフィラキシー反応の既往のある人など)のある方は、ワクチンに含まれるその他の成分によるアレルギー反応が生ずる可能性もありますので、接種前にかかりつけ医にご相談ください。


Q6、麻しんワクチン接種について
A6、麻しんは感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできません。
麻しんの予防接種が最も有効な予防法といえます。 また、麻しんの患者さんに接触した場合、72時間以内に麻しんワクチンの接種をすることも効果的であると考えられています。
詳しくは、かかりつけ医にご相談ください。

 定期接種の対象者以外では、医療・教育関係者や海外渡航を計画している成人や、麻しんの罹患歴や予防接種歴が明らかでない方は予防接種をご検討ください。
優先順位としましては、一度も接種したことがない方は、重症化の可能性が高いので、最優先されるべきと考えます。1回以上の接種歴がある方は、重症化の可能性は低いので、あわてて接種する必要はありません。


Q7、麻しんにかかったかもしれない場合は、どうすればよい?
A7、発疹、発熱などの麻しんのような症状がある場合は、麻しんの疑いがあることをかかりつけ医または医療機関に電話等で伝え、受診の要否や注意点を確認してから、その指示に従ってください。また麻しんの感染力は非常に強いと言われています。
医療機関へ移動される際は、周囲の方への感染を防ぐためにもマスクを着用し、公共交通機関の利用を可能な限り避けてください。


参考資料
・厚生労働省検疫所(FORTH)麻しん風しんの流行状況(2017年5月時点)
・原文(WHO)[※PDF]
・外務省海外安全ホームページ
・外務省たびレジ
・WHO Immunization, Vaccines, Biologicals measles(英語)[※PDF]
  図:各国の麻しん報告数(2017年9月〜2018年2月)
・国立感染症研究所 麻しんとは
・長崎県医療政策課 麻しん(はしか)に注意しましょう


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