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私たちについて
このコーナーは、身近な病気や健康についての情報を集めています。 みなさんの健康保持増進にお役立てください。
くすりと健康
厚生省及び長崎県委託事業
長崎県薬剤師会編集
長崎県歯科医師会・長崎県医師会協力

はじめに

昔、祖父や祖母から「スイカとテンプラは食い合わせが悪い一」、「ウナギと梅干しは食い合わせが悪いから食べないように」などと言われて、おいしいものを食べるときに限って、この食い合わせという言葉によって遮られてきたように思います。スイカとテンプラの食い合わせでは、冷えたスイカとテンプラのような油物を一緒に胃に入れると、消化不良を起こして胃腸が悪くなることは予想されますが、ウナギと梅干しはちよっとよくわかりません。科学的信憑性うんぬんよりは、中国の故事などから来たものも多かったと思われます。
ところで、クスリは逆から読みますとリスク(Risk)です。クスリにはつねに副作用というリスクがあることを示しています。とくにクスリの場合、飲み合わせが大きな社会問題となっております。皮膚病の薬と抗がん剤の飲み合わせから多数の死者が出た「ソリブジン薬害事件」は、そのような飲み合わせから起きた典型的な事件でした。

薬の服用上の注意
1.薬とアルコールの飲み合わせ

お酒と睡眠薬、抗不安薬

アルコールは適度に飲めぱ、百薬の長となり、心をリラックスさせ、夜も良く眠れるようになります。これは、アルコールに脳の緊張を抑える作用があり、それが働いているからです。薬にも、不安や緊張を抑える抗不安薬(トランキライザー類)や、睡眠薬にそのような働きがあります。ですから決められた薬用量を服用していても、お酒を一緒に飲むと、脳の緊張を抑える働きが2倍にも3倍にも増強され、前後不覚となってしまいますので、注意してください。

  • お酒と一緒に飲む事を注意すべき睡眠薬、抗不安薬は以下のとおり。
    抗不安薬・・・セルシン、セレナールなど
    睡眠導入薬・・・ハルシオン、アモバンなど

お酒と糖尿病の薬

アルコールは多量服用すると、血糖降下作用が出てきます。糖尿病の場合、怖いのは薬の効果が効き過ぎた時に起きる低血糖の症状です。インスリン注射や糖尿病の薬を飲んでおられる方で、過度のお酒を飲まれると、アルコールと糖尿病の薬により、低血糖の症状が出現するので特に注意してください。

  • お酒と一緒に飲む事を注意すべき糖尿病の薬は以下のとおり。
    インスリン、オイグルコン、ラスチノン、グリミクロンなど

お酒と高血圧治療薬

アルコールを多く飲みますと、よく頭がズキズキ、ガンガンいたします。この時、血管は拡がっており、血圧は下がっております。このような状態で高血圧の治療薬が一緒に服用されますと、血圧が下がり過ぎて、低血圧症状が引き起こされます。普段から高血圧の薬を飲んでいる人は、お酒を控えめにしましょう。

  • お酒と一緒に飲む事を注意すべき高血圧治療薬は以下のとおり。
    インデラル、アダラート、ヘルベッサー、レニベースなど

お酒と肝臓の代謝との関係

普段から慢性的にお酒を飲んでいる人(アルコール中毒者)は、月肝臓の中の薬を代謝する酵素の量が、他の人より多くなっています。そのため、いざ、手術の時などに麻酔薬が効きにくいといっだことがよくあります。この現象は他の薬でも同様で、薬の代謝を促進して効果が薄れることが起こります。一方、普段お酒を飲まない人が一度に大酒を飲むと、肝臓の薬物代謝酵素は抑制を受け、一緒に飲んだ薬の代謝も遅延して薬の効果が大きく出てきて、場合によっては薬物中毒を引き起こすことがあります。

以上、普段から何種類か薬を服用しておられる方は、お酒もほどほどにたしなむ程度に抑えることが、薬とお酒の相互作用を避けるためにも賢明なことと思います。

 

薬の服用上の注意
2.薬とタバコの飲み合わせ

タバコの煙にはある種の薬の代謝酵素を活性化する物質が含まれています。喘息の薬のテオドールという薬は、喫煙者では代謝が促進されますので、非喫煙者よりも効き目が悪くなります。
また、避妊薬のピルを服用しておられる方で、喫煙されておられる場合には、心筋梗塞に十分注意してください。ピル服用者で喫煙者の心筋梗塞の発生頻度は非喫煙者の16倍と言われております。こわいことです。
また、肺気腫は男性が女性の10倍以上かかり易い疾患ですが、その主原因として喫煙があります。従って、呼吸器疾患の人は、どんなに薬を服用してもタバコと相性が悪いわけですから、まず禁煙を心がけるようにしてください。

薬の服用上の注意
3.薬はコップ一杯の水で服用しましょう

薬はコップ一杯の水で服用しましょう血圧を下げる薬に、「カルシウムブロッカー」という薬があります。この薬はグレープフルーツジユースと服用すれば、薬の代謝が押さえられて薬効が強く出過ぎて副作用が出てきます。
胃に対する刺激を抑えるためにミルクや牛乳で薬を飲むという方もたまにおられますが、これも考えものです。

ミルクや牛乳にはカルシウムが多く含まれており、抗生物質のテトラサイクリン(ミノマイシンなど)は、このカルシウムと化学反応を起こし、消化管から全く吸収されなくなります。

このようなことから見ても、薬はやはり、コップ一杯の水、できれば微温湯で服用することが一番いいのです。

薬の服用上の注意
4.薬と薬の飲み合わせ

アルミニウムやマグネシウムを含む制酸剤や鉄剤と飲み合わせの悪い薬

市販の制酸剤の大部分はアルミニウムやマグネシウムが含まれております。抗生物質のミノマイシンやタリビツト、バクシダールなどはこれらと反応して、体の中に吸収されなくなります。これらの抗生物質服用時は飲み合わせに注意してください。

アスピリンやボルタレンなどと飲み合わせの悪い薬

アスピリンやボルタレンなどを解熱鎮痛剤といいます。これらの薬は体の中で発痛物質であるプロスタグランジンという物質の生成を抑え、このことが痛みに効くのですが、反面、血圧が下がりにくくなる作用があります。従って、漫然と解熱鎮痛剤を服用することは、高血圧の薬を効きにくくします。さらに、解熱鎮痛剤は胃潰瘍を誘発する作用がありますので、胃の悪い人、特に胃潰瘍の人は注意が必要です。
成人の喘息の人の約10%はアスピリン喘息と言われています。これらの人では、アスピリンを始めとして、ボルタレン、ロキソニンなどの解熱鎮痛剤を服用することで、喘息発作を誘発いたしますので、注意が必要です、従って、喘息の薬とも相性が悪いのです。解熱鎮痛剤は何も飲み薬だけではなく、インテバン外用液などのような筋肉痛に使用する塗り薬にもインドメタシンという解熱鎮痛剤が含まれており、やはり注意が必要です。

  • アスピリンなどの解熱鎮痛剤と飲み合わせの悪い薬は以下のとおり。
    インデラル、レニベースなどの降圧剤→効果減弱
    テオドール、アミノフィリンなどの喘息薬→効果減弱
    オイグルコンなど経口糖尿病薬→低血糖
    ワーファリン→出血

他の薬の代謝を阻害する薬

これが飲み台わせで最も問題の多いものです。胃潰瘍につかうタガメットは薬の代謝酵素を強力に抑制します。そのため、ワーファリンと併用すると出血傾向、睡眠薬のハルシオンと併用すると前後不覚や睡眠増強など、いろいろ間題も多い薬です。以下にこの代謝抑制による相互作用をまとめてみます。

  • 抗真菌剤のケトコナゾール、イトラコナゾールや抗生物質のエリスロマイシンは抗アレルギー薬のトリルダンの代謝抑制→致死的な不整脈を惹起。
  • 抗ヘルペス薬のソリブジンとある種の抗癌薬→白血球、赤血球、血小板減少
  • エリスロマイシンによるテオドールの代謝抑制→興奮、心拍数増加

医薬分業の大きな特徴

医薬分業の大きな特徴

薬と食品との組み合わせ、タバコと薬、薬と薬の飲み合わせ、これらはここでは述べることは不可能なくらい夥しい数にのぼります。
先に述べた薬が一つの医療機関から処方されれば、お医者様のチエックも可能です。患者さんでいくつかの病気がある場合、複数の医院、病院から別々に種々の薬が処方されます。
薬の悪い飲み合わせを防止するには、かかりつけ医に相談するか、又はかかりつけ薬局に院外処方せんを持っていき、その薬局で薬歴(患者さんが過去に服用した薬のリスト)と照らし合わせ、薬物問で相互作用がないか、薬剤師にチエックしてもらうことが一番です。
このサービスが受けられるのが、医薬分業の大きな特徴ですから、利用してください。

関連資料

Y.Kato(長崎市医師会会員)
E-mail : ykato-ind@umin.ac.jp
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