病気一口メモ

がんは生活習慣病 食道がんになりやすい人

長崎神経医療センター  宮下 光世

 


 今や国民の3人に1人ががんで死ぬ時代です。がんという病気は生活習慣病であることをご存知ですか。生活習慣病とは、不適切な食生活や、運動不足、喫煙などで起こる病気を言います。これには今話題のメタボリックシンドローム、脳卒中や虚血性心疾患に加えがんがあります。タバコを吸う人に肺がんが多いことはよく知られていますが、実は食道がんも生活習慣病と非常に関係が深いことが知られています。
 食道がんになる人は、長年の飲酒そして喫煙と関係があるといわれています。こういう生活習慣を持つ人は圧倒的に男性が多いことから、食道がんは女性の5倍以上男性に多いことがわかっています。以上のことから食道がんになりやすい人(ハイリスクグループ)が考えられます。それは50歳以上の男性で長年の飲酒及び喫煙の習慣がある人です。じつはお酒の種類にも特徴があり、ビールを飲む人よりアルコール度数の高いウィスキーや焼酎を飲む人に多いことがわかっています。
 食道がんの症状にはどういうものがあるでしょうか。食道がしみる感じや食べ物のつかえが特徴的な症状ですが、無症状の人が約20%います。また胸焼けも注意すべき症状です。しかしこういう自覚症状でみつかるがんはしばしば進んでいます。がんをよく治すためにはなんと言っても早期発見・早期治療です。そのためにはハイリスクグループの人の内視鏡検査が有効だと考えられます。通常の観察ではわからない早期がんを、ルゴールという色素を散布し黒く変化しない不染帯として見つけます。この段階で見つけると今では手術をせずにない市況切除で治すことができます。食道は胸部の奥深くにある臓器で、手術は開胸・開腹という非常に大掛かりなものです。手術死亡率も他の手術に比べ高い難しい手術です。最近ではこういった進行がんにも抗がん剤と放射線で手術と同等の効果が期待できる時代になりました。しかし出来るなら早期発見して手術せずに治したいものです。
 そして可能ならがんにならないことです。がんは生活習慣病、このことを一度肝に銘じ、お酒、タバコという生活習慣を改善して食道がんのみならず、すべてのがんにならないように心がけたいものです。
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