病気一口メモ

『おなかが張る (腹部膨満感)』

中村内科医院   中村 祐二

 


 いつもおなかが張って調子が悪い、げっぷやおならが多い、見た目にもおなか全体が膨れて異常だ、と心配されている方も多いかと思います。
おなかが膨れて見える場合は腸管にガスが貯まっている場合が多く、他には単純な肥満や、肝臓病や腫瘍による腹水、腸閉塞、尿閉、など深刻なものもあります。その中で日常的にもよく見られる程度の鼓腸(消化管にたくさんのガスが貯まっている状態)について書いてみたいと思います。ガスがたまる原因には便秘、呑気症(食事や呼吸と一緒に大量の空気を飲み込む)、慢性胃炎による消化不良、アルコールの飲みすぎによる膵機能の低下、発酵性食品や果物、たんぱく質の取りすぎ、ストレスによる消化管機能の異常や、ある種の薬剤(糖尿病薬、安定剤など)の常用による消化管運動の低下などがあげられます。
これらの原因となり物理的にあるいは腸管からガス吸収が障害されてガスが貯まる訳です。おなかは張って、貯まったがすを排出するために、口からはげっぷ、あるいは肛門からはおならが増えることになります。消化管の機能は個人差も大きく、生活習慣も様々ですから完全に治すことは困難ですが、規則正しい生活をする。食べすぎ、飲みすぎに注意する。食事はよく噛んで食べ、食後は安静にする。イモ類、マメ類、乳製品、繊維質を控えたりするなどで軽くなることもあります。便秘に良かれと思った食べ物があえっておなかが張って調子が悪いということもあります。もちろんおなかの張りが頑固に持続する場合や、急激に発症して腹痛、嘔吐を伴ったりする場合は病院で見てもらうことが必要です。余談ですが、もともと欧米人とは構造の違う消化管を持つ日本人が、食生活の欧米化によって様々な消化器疾患が増えてきたとも言われています。生活習慣病の予防の観点からも日本人の食生活を見直す時期に来たのかもしれません。

 

 


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