病気一口メモ

『脳卒中』

東彼杵郡医師会    松尾 秀徳

 


   脳卒中という言葉は、”急に脳の病にあた(中)る”ということを意味しています。この脳卒中は急性虚血性脳卒中(脳梗塞・脳血栓や脳塞栓)と出血性脳卒中(くも膜下出血や高血圧性脳出血)に分けられます。急性虚血性脳卒中は、病気が起こってから3時間以内であれば血栓溶解療法により詰まった脳の動脈を再開通させることで症状が改善し脳梗塞を免れることができる可能性があります。しかし、3時間以上を経過してから血栓溶解療法を行うと出血などの副作用でかえって悪い結末になってしまう危険もあります。実際に血栓溶解療法を行うためには、CTやMRIによる診断と治療方針の決定、本人あるいはご家族への病状・治療に関する説明と同意が必要になります。これらすべてを病気が起こってから3時間以内にすませなければいけませんので、病気が起こったら一刻も早く治療のできる病院に到達することが治療成功への鍵なのです。アメリカでは”Time is Brain”といってブレインアタック(脳卒中)に挑戦しています。

 脳卒中では、もはや病気が起こってからリハビリテーション(リハビリ)までを一つの病院で行う時代ではなくなりました。前述のような急性期の治療を行う病院、それに続く回復期のリハビリを行う病院、さらに必要であれば、その後の治療を行う病院というように病気の時期によってそれぞれを専門に受け持つことが一般的になってきたのです。急性期の治療を行う病院には、CT・MRI等の設備はありますが、リハビリのスタッフは数名しかいない場合もあります。一方、回復期の病院は数十名のスタッフがいて時間をかけてより効率的なリハビリが可能となっています。脳卒中からの回復には早期からの適切なリハビリが重要です。県央地域でも、患者さんが地域の中で安心して継続した治療を受けていただけるように地域の病院の連携に取り組んでいます。急性期の病院での入院治療は約2週間が目安です。その時点で歩行が困難な場合や意識障害がある場合には、転院されてのリハビリの継続をお勧めしています。その際には医療情報を連携先施設に提供し、切れ目のない治療が継続できるようになっています。

 

 


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