病気一口メモ

『外反母趾について』

東彼杵郡医師会    新村 哲也

 


 

 外反母趾とは足の第一指(親指)が外側(小指)に向いている足の変形で、通常誰でもある程度は外側を向きますが、足と第一指のなす角度Aが20度以上の状態を外反母趾といいます。(図1)

 外反母趾の患者さんは30歳異常の女性に多く、その原因は靴とくにハイヒールが良くないといわれていますが、中高生や男性にも見られることから一概に靴が原因とはいえません。一般には土踏まずのカーブを支える筋肉の減弱が原因と考えられています。

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  外反母趾による痛みはバニオン(MTP関節周囲の滑液包)が刺激を受け炎症を起こす事が主な原因ですが、変形の程度と痛みとは必ずしも一致しません。治療法は外科療法(手術)と保存療法があります。保存療法には、薬物、注射などがありますが、薬の効果がなくなると痛みを繰り返します。痛みが増悪し日常生活に支障をきたすようになれば、手術が必要と考えられてきました。実は私も同じ考えで治療しておりました。先日も中学生が外反母趾による痛みのために受診されました。「治療は難しく、やや大きめの靴で第一指の突出部が当たらないような工夫をしてください。」と説明しましたが、すっきりしませんでした。何かいい治療法があるはずと考えていました所、つい最近非常に効果的な治療法がある事を知りました。報告者は足の外科の専門医の先生でした。その治療法は足のMTP関節部を弾力包帯で巻くだけの簡単な方法です(図2)。  02

 包帯を巻くうえでの大切なポイントは、我慢できる範囲内で強めに全体をくるむように5〜6回巻いてしっかりと止めること。包帯を巻くのは寝ている間だけでかまわないが、できれば日中も巻いてもよいとのことです。これだけで1〜2ヶ月もすると約70%の患者さんの痛みが軽快したそうです。

 足部のマッサージ及びつま先立ち体操も同時に行うと効果は更に上がります。外反母趾による痛みの治らない方、手術以外にいい方法はないかと言われ困っておられる方は大変簡単な方法ですのでだまされたと思いぜひこの包帯固定方を試して見て下さい。

 

 

 


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