病気一口メモ

『加齢黄斑変性症について』

三島眼科医院    三島 恵一郎

 


   近年、高齢化社会に伴い眼科領域で話題になっている疾患が加齢黄斑変性症です。眼のおくには網膜という神経で出来たカメラでいうフィルムに相当する膜がありますが、その中心部を黄斑部といい、視力、色覚を司る目にとって最も大事な場所です。加齢黄斑変性症はその黄斑部に様々な原因で出血や浮腫(むくみ)を伴う難治性の病気です。つまり、目の中で最も大事なところを障害されるので、視力低下、かすみ以外に特徴として、ものが歪む、小さく見える、色が違って見える、暗いなどの症状があります。

時々、片目で障子の桟や基盤の上などを見てください。そのときに線が歪んで見えるようなときは要注意です。ただし、このような症状は黄斑部に病気があるときの症状ですから、この症状があるからといって加齢黄斑変性症とは限りません。必ず眼科を受診し、詳しく眼底を見てもらうことが重要です。加齢黄斑変性症はいまだはっきりした原因は分かっていません。遺伝子や光障害、炎症、循環障害など様々な原因が組み合わさって起こると考えられています。病気が進行してしまってはなかなか視力の回復は期待できません。現在の治療はいかに病気の進行を抑えるかという事です。最新の治療は光線力学療法といった特殊なレーザー治療や、病気の進行を抑えるような特殊な目薬を目の中に直接注射する方法もありますが、これらは視力を回復させるものではなく病気の進行を抑える治療です。予防としては、栄養素であるルテイン、βカロテン、ビタミンC、E、亜鉛などは加齢黄斑変性症の予防効果があると認められていますので、これらを多く含む物質、ほうれん草・ブロッコリー・人参・かぼちゃ・ケールなどの緑黄色野菜、特に緑の濃い野菜が良いとされています。また、青魚などに多く含まれるω脂肪酸も予防効果があるとされています。これらを食事でとるか、栄養剤で取るかは自由ですが、いずれにしても元気で居る間は良い視力を維持していくために

@片目で見え方をチェックする

A以上がある場合は眼科で診察を受ける

B予防に努める

以上を注意しながら健康な視力を守ってください。

 


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