病気一口メモ

『動脈硬化と高血圧の話』

長崎神経医療センター   吉田 和朗

 


 人の寿命を左右するものの一つとして、最近血管の老化が注目されています。血管とは血液を循環させ栄養分や酸素を絶え間なく細胞に運び入れ不要物を運び去るための、文字どおり生命の大動脈であります。老化が進んできますと血管は細く堅くなり、更に進むと詰まったり破れたりという深刻な事態に至ってしまいます。血管をなるべく老化させえないことが、「元気で長生き」を目指すうえで大切なことであります。

 血管の老化を進めるものとして喫煙・肥満・運動不足など生活習慣によるものと、高血圧・糖尿病など生活習慣病といわれるものが挙げられます。生活習慣はご自分の意志で変えていくことが可能なものですが生活習慣病については適切な治療が必要です。

 今日はこのなかで高血圧についてお話します。高血圧は別名”沈黙の殺人者”と呼ばれています。これは血圧が高いというだけではあまり症状がなく存在に気づきにくいのですが、放置しておくと知らないうちにジワジワと血管を老化させていき、そして脳梗塞・脳出血や狭心症・心筋梗塞、また腎不全や心不全など生死に関わる障碍が起こったときに初めてその存在に気づく場合があるからです。

 最近は高血圧の治療法もずいぶん進化しました。日本では高血圧学会が多くのデータを下に治療のガイドラインを作っております。血圧の程度や生活習慣病の有無、腎臓や心臓の病気の程度などによって、治療の方法や生活習慣の是正など具体的な目標が示されており、一人ひとりの健康状態に合った治療を進める時代になってきました。

 しかしご自分の血圧を測る機会がなければ結果的に高血圧を見逃してしまい、せっかくの治療の進歩が十分に生かされません。最近血圧を測ったことのないという方は結構いらっしゃると思いますが血圧は年齢とともに高くなりますので、時に自分の血圧を知ることはとても大事です。思い当たる方はぜひ血圧を測る機会を作ってください。市販の血圧計で測ってみる、あるいは検診を受け、お近くの病院に相談してみるのも結構かと存じます。もちろん私どもにもお気軽にご相談ください。 

 


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