病気一口メモ

麻酔って何?

はすわ診療所    別府 幸岐

 


 

病気にはなりたくないものです。ましてや、手術の必要となる病気なんてもってのほか。

 しかし、不幸にも病気に罹り、手術が必要になった場合、「麻酔」が必要になります。麻酔ってなんでしょう?今回は、皆さんが普段接することの少ない「麻酔」について、お話したいと思います。

 麻酔は、「全身麻酔」と「局所麻酔」に大別されています。「全身麻酔」とは、「無痛、無意識、無動」の3条件を完全に満たした状態の事です。よく勘違いされますが、「無意識」=「全身麻酔」ではありません。例えば、無意識または眠った状態では、寝返りを打ったり、叩かれて痛ければ目が覚めたりしますよね。しかし、全身麻酔下では、寝返りをうつことも、痛くて目がさめることもありません。さらに、呼吸もコントロールされ、自分で呼吸することが出来なくなります。これに対して、「局所麻酔」は、痛みを取りますが、意識は残ります。ただ、鎮静させるお薬を使い、眠った状態で手術を受けてもらうことは出来ます。

 どの様に「全身麻酔」と「局所麻酔」を選ぶのでしょうか?これは、手術内容と手術を受ける人によって決まります。「局所麻酔」は、手術部位がおへそより下であまり広範囲でない場合に選ばれます。「全身麻酔」は手術部位がおへそより上だったり、下半身でも広範囲におよんだり、また、お子さんの手術などです。「全身麻酔」も「局所麻酔」もそれぞれ利点・欠点があります。麻酔を受けられる場合には、どの様な麻酔方法となるのか、何故それが選ばれたのか等、しっかり説明を受けてください。

 最後に、麻酔に関するトリビアを1つ。意識をコントロールする全身麻酔ですから、「脳に影響は?」と疑問に持たれる方もいらっしゃるのでは?

 流石に人間での実験はありませんが、ネズミを用いた迷路の実験があります。吸入麻酔薬を吸ったネズミと吸わなかったネズミとでは、吸ったネズミの方が迷路の正解率が高いという実験結果があるそうです。あくまで、ネズミでの話ですから、吸入麻酔を吸っておけばテストで100点、なんてことはないと思いますよ。

 


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